2008-01-01から1年間の記事一覧

インターネットのハンドルとエンジン

Amazon.co.jp: アンパンマン よくばりGO!GO!ハンドル: おもちゃ子供は、こういうハンドルのおもちゃを与えられて、車を所有し自由に操っているような錯覚をしてしまう。「インターネット」についての議論を見ていると、これと似たような違和感を感じること…

ヴァーチャルと別のヴァーチャルの分水嶺

2008年は、ネットとリアルの本格的な衝突が始まった年だと思う。毎日新聞の変態事件とかダウンロード違法化とかストリートビューの問題とか、ある意味では以前からあった形の衝突ではあるけど、一段と混迷の度合いが深まり、のっぴきならない事件となった例…

RailsとMerbの合流についてあれこれ

これって、ある意味、オープンソースプロジェクトの凄みが見えてくるすごく衝撃的なニュースです。そこで、なるべく、IT業界に関係ない人にもわかるように、このニュースの意味をいくつかの側面から考えてみたいと思います。 ビジネスではあり得ないことが起…

2003年の「圏外からのひとこと」を振り返る

年末で「今年一年を振り返る」系の話がたくさんありますが、ちょっとヒネって「このブログの5年前を振り返る」という企画を立ててみました。私がブログ(当時はWeb日記と言っていましたが)を書き始めたのは、2002年の11月です。当初は、tDiaryというWeb日記の…

SoulHack #8 「厳密さ」「客観性」以外にもうひとつ支点を持とう

技術評論社のWebマガジン、エンジニアマインドのNO8.が公開されました。合わせて、私が連載させていただいている記事の第8回も公開されました。 エンジニアのためのSoulHacks:SoulHack #8 「厳密さ」「客観性」以外にもうひとつ支点を持とう | エンジニアマ…

WSJの誤報炎上について

WSJが誤報で炎上している模様。このエントリがわかりやすい。 Google、ネット中立性で方向転換?それともWSJの勇み足? | JOURNAL | FERMAT 日本からYouTubeを見ると、同じ動画ファイルが何十万回も太平洋を越えてダウンロードされる。これはどう考えても無…

zoomin/zoomoutを繰り返すことによって見えてくる世界

サイバーカスケードという話に前から疑問があった。 インターネットには、同じ考えや感想を持つ者同士を結びつけることをきわめて簡易にする特徴がある。つまり人々は、インターネット上の記事や掲示板等を通じて、特定のニュースや論点に関する考えや、特定…

第21期竜王戦 -- 高速道路の先にある名勝負

渡辺竜王対羽生名人の第21期竜王戦7番勝負が凄いことになっています。もともとこの戦いは、世代対決という要素もある上に、勝った方が初代永世竜王の称号を獲得する重要な意味を持つタイトル戦ということで話題になっていましたが、いざ始まってみたら実際に…

「結果の平等」と「変化の不平等」

今日の読売新聞で、2008年の論壇を「『新自由主義』崩落の年」と総括していた。 これらの危機や問題には共通の根があることを、今や私たちは知っている。小さな政府を志向し、社会の隅々までを市場化し、すべてを個人の能力に帰していく「新自由主義」である…

price 本位制から link 本位制へ

ネットはtextによるコミュニケーションが実はほとんど成立していないことを明らかにした。 ネット文化圏の勢力図を作ってみた。 - 山田井ユウキ - builder by ZDNet Japan ここに出てくる文化圏のそれぞれに、独特の context (文脈)がある。contextを共有し…

<帝国>に対抗する新しい<国語>が2ちゃんねるで生まれている

はてな取締役であるという立場を離れて言う。はてぶのコメントには、バカなものが本当に多すぎる。本を紹介しているだけのエントリーに対して、どうして対象となっている本を読まずに、批判コメントや自分の意見を書く気が起きるのだろう。そこがまったく理…

「インテグラル・スピリチャリティ」書評

エンジニアマインド連載の第7回が公開されまています。 エンジニアのためのSoulHacks:SoulHack #7 心の中になるべく大きな地図を持とう | エンジニアマインド … 技術評論社 ネットの中で何かをするということは,ある意味で負けることが決まっている勝負に…

亡びるのは国語でなくて国民国家では?

「国語」としての日本語は、滅びない。そして英語は道具として使われる。 - reponの日記 ないわ〜 404 NotFound(暫定) これは重要な論点だと思う。 日本語という「国語」は、国家統合の要であり、象徴なんです。 日本語を話すから、「日本人」という共同幻…

オバマはSNSでキャズムを超えた

オバマ候補がネットを通して行った3つの活動 - ゴールデンタイムズ 自分のサイトにSNSを導入。(「オバマを応援する」という名目で集まった人たちが地域ごとに交流できるように。) サイトから簡単に寄付できるようにして支援金1億ドルを獲得(最小として一…

グーグルの国際化と地域化

私は、「グーグルの日本法人は営業所だ」と言ってきました。 日本法人は支社というより、実態は「営業所」と言った方が適切だと思います。おそらく日本オフィスに勤務して開発に携わる技術者はいるでしょうが、開発の仕事を行なうなら実態としては本社(の開…

森公美子さんはiPhoneそのものを批判してるわけじゃない

「私にiPhoneは無理無理!」森公美子がiPhone 3Gをハイテンションかつアグレッシブに批判 - GIGAZINE これって、「iPhoneを批判している」と読むのが若干ミスリード気味だと思う。 近所、家族、にAiphoneを持って居る人のみの仕様です! 店員は料金の説明に…

円高の日にはメールとExcelの無いオフィスを想像してみる

円高って、日本に対して世界中が「この子は本当はもっと出来る子」だと見てるってことだと思います。本当なら日本は、もっともっと生産性を上げられるはずだ、世界中がそう言っていて、世界中の金持ちがそれに便乗している。私もそう思います。ITを活用して…

こんな時に株買うバカって何なんでしょうね

連日のように株安のニュースが流れてますが、何円安、何ドル安と報道されているということは、一応、値がついてるんですよね。値がつくということは取引が成立してるということで、つまりこういう状況の中でも買う人がいるということです。みんなが「暴落だ…

小泉さんは泡沫候補だったのをみんな忘れてしまったのか?

今では竹下登というより Daigo のお爺さんと言った方が通りがいいのかもしれないが、あの人の権勢は凄いものだった。竹下さんが凄いというより、経世会という組織が日本の権力中枢そのもので、それだけに内部の権力争いはすさまじいものがあったが、それが日…

ネットは核技術と同じくらい危ない分野

一戸 信哉氏が、MIAUは「社会派」的な色を薄めた方がよいのではないか?という提案をされている。 ICHINOHE Blog: 「先進ユーザ」が集う「場」としてのMIAU MIAUのような社会派の活動と、ビジネスや技術系の人たちとの接点は、なくはないのだけれども少ない…

「諸君!」10月号の座談会に出ました

「諸君!」10月号の「ブログ論客かく語りき これが格差の現実だ」という座談会に、佐々木俊尚さん、天漢日乗さんと一緒に出させていただきました。非常に面白いお話がたくさんあって、なかなか濃い座談会でした。私が特に印象に残ったのは、天漢日乗さんの「…

冠婚葬祭というSNS

結婚式や葬式というのは、SNSのホームページのようなものだと思う。そこにいる誰もが、新郎新譜を心から祝いに来るわけでもないし、故人を追悼する気持ちに満ちているわけでもなくて、浮世の義理で仕方なく来ている人も多いだろう。しかし、そこにいる人の顔…

Chromeがソフトの拡張性を「こちら側」から「あちら側」に移す

コンピュータになじんでいる人と一般の人は、いろいろな所で感覚が違うものですが、これについてslashdot.jpに鋭い洞察がありました。 一般人の場合 GEEKの場合 機械を使う PCの内部を意識せず、目的の業務なり文書を仕上げること。 環境を自分にとって快適…

印刷抜きでiPhoneとChromeを前提として始まるOffice

途上国では、固定電話より早く携帯電話が普及するということが起きているそうですが、それと同じように、パソコンの使い方も我々が先進的な使い方と思いこんでいるような所からスタートするかもしれません。私は、普通の事務作業の中でパソコンを使う時、「…

日本のオバマになるべき人がもしいたら、間違いなく2ちゃんねらやってるだろうなという話

印刷、電波、ネットの三つの技術を比較すると、最も装置産業的なのが電波であり、その次が印刷、ネットが最後になる。つまり、 A: 電波 B: 印刷 C: ネット という順で、上の方が集中して大規模化することが技術的に意味があり、その分だけ、少数の人間が管理…

「空気を読まなくていい空気」があればもっと自由になれる

このブログも参加しているAMNの企画で、あなたに“もっと自由”を Post your freedomというキャンペーンがスタートしました。ユニークなことは「書きこめるバナー」という面白いアイディアです。何回かリロードして、上のバナーに「Centrino2」キャンペーンの…

iPhoneの加速度を測る

iPhoneには加速度センサーがついていますが、ここで言いたいのはそれではなくて、iPhoneという現象そのものの加速度のことです。初速が遅いけど加速度の高いランナーと、速度は速いけど一定のランナーが競争したら、距離にもよりますが、普通は加速度の高い…

SoulHack #4 電車と同じくらいネットの存在を当たり前に受け入れよう

技術評論社のWebマガジン、エンジニアマインドのNO4.が公開されました。合わせて、私が連載させていただいている記事の第4回も公開されました。 エンジニアのためのSoulHacks:SoulHack #4 電車と同じくらいネットの存在を当たり前に受け入れよう | エンジ…

iPhoneのキラーアプリによって亡ぼされる国

iPhoneがそれほど売れてないという記事がいくつか出ているけど、継続できるくらい売れていればいつかキラーアプリが出て来る。キラーアプリとは、iPhoneよりずっと有名になる何かであって、人々がiPhoneのことをその何か動かす為の機械(に少しオマケがついて…

歴史の中では20世紀が逸脱の時代として記憶されるかもしれない

もし地球に未来があるとしたら、今世紀後半か22世紀くらいには技術によって地球が一つになって、国民国家が名実共に消滅するだろう。そうしたら、将来の歴史教科書では、16世紀から21世紀か22世紀くらいまでが「技術によって地球が一つになっていく過渡期」…