印刷抜きでiPhoneとChromeを前提として始まるOffice
途上国では、固定電話より早く携帯電話が普及するということが起きているそうですが、それと同じように、パソコンの使い方も我々が先進的な使い方と思いこんでいるような所からスタートするかもしれません。
私は、普通の事務作業の中でパソコンを使う時、「印刷」とそれにまつわる作業、罫線やフォントやレイアウトの調整といったものは、無駄以外の何者でもないと考えています。おそらく、「印刷」作業の回りで、体裁だけの為に全く生産性向上に寄与しない、ものすごく無駄な時間が膨大に費されていると。
そもそも、書類を紙に印刷するのは、情報共有の為の手段です。我々はパソコン以前に紙による情報共有に長い間親しんできましたから、目的と手段を混同してるのではないでしょうか。
各人が、 iPhone や Kindle や EeePC のようなビューアになる端末を常時携帯して、それによってストレスなく書類を見ることができたら、印刷しなくてもサーバに書類を置いておくだけで、情報共有を行うことができます。むしろ、ファイルのままの方が、検索したり編集履歴を見たり関連文書をすぐ表示できたりするので、ずっと使いやすいはずです。
グーグルの発表した新しいブラウザである Chrome は、そういう「ビューア」の為の基盤となるソフトだと考えるべきだと思います。端末で Chrome が動けば、それだけでビューアとして使えます。それによって情報共有を行うことで、コンピュータの用途の90%以上は満たすことができます。
つまり、 Chrome とは、画面とキーボードがちょっとでかい iPhone であり、両方とも、クラウドにアクセスする為のビューアなのです。
データ入力の為の機能も若干は持っていますが、大半の人にとって、情報は入力するより閲覧する方がずっと多いはずです。入力は、閲覧のおまけの機能です。
もちろん、これまでパソコンを使いこんできた人が、そういうやり方に慣れるには時間がかかるでしょう。場合によっては、世代交代が必要なのかもしれません。
でも、これからコンピュータが普及するような国では、それが最適な手段です。
これまでは、紙にしろコンピュータにしろ共有された情報にアクセスするには、最低でも読み書きができることが必要だったのですが、これからは字が読めなくても動画ですましてしまうケースも出てくるかもしれません。
たとえば、工場で簡単な組立作業を行う人に、 Chrome だけが動くEeePCを渡して、それで、Google Apps に置いてあるビデオを見て作業を覚えてもらうのです。日常の連絡も全てこの方法で行うことができます。現状では、EeePc でも高すぎると思いますが、同じスペックのコンピュータが電卓なみになる日もすぐやって来ます。
それと、先進国の中でも、これからコンピュータに触れる人については同じことが言えます。各人がビューアを常時携帯することを前提に、「印刷」関連のことを全部飛ばして、事務作業を組み立てる、そういう会社も増えると思います。ただ、先進国の中で同じことをするには、これまでの常識や慣習と戦う為のコストが必要になるので、当分の間は、少数派になるかもしれません。
一日一チベットリンク→中国でのiTunes Storeのアクセスが復活--チベット支援曲はトップページから削除:ニュース - CNET Japan