文学と知財

文学は金にならないけど、ひとに力を与える。知財は金になるけど、ひとから力を奪う。

お札はどのお札もみんな同じだ。だから、金とは貧しさのことだ。文学はどの文学もみんな違う。だから、力とは豊かさのことだ。

貧しさと豊かさを相互変換する二つのシステムがあって、知財は豊かさを収奪し貧しさに変えるシステムだ。文学は貧しさの中から豊かさを産み出すシステムだ。

僕は文学が好きで知財が嫌いだけど、このような対称性があるとしたら、どちらも必要なのかもしれない。ただ、豊かさを憎む人が知財を進めると、そこにもうひとつの「圧倒的な非対称」が起きてしまうだろう。

ネットの中に、熱帯雨林のような猥雑とも言える圧倒的な豊かさを見て、混乱してしまう人は確かにいる。そういう人は、突っ走るのではなく立ち止まるべきだ。文学の豊かさが、時に自分たちを支えてくれるのだということを知っている人が、知財に関わるべきだと思う。