農協月へ行く

ギャー、ゴメンナサイ。そういうSFあった。もろにそれがあった。筒井康隆の「農協、月へ行く」です。

これ、まさに馬鹿ユーザのメンタリティーとそれが出現する理由を書いてます。とりあえず、ツッコまれないうちにアリバイだけ書いて、詳しくは後程。

(追記) これは、月旅行が一般に解放された直後の近未来のお話。と言っても、まだ開発途上で危険や制限がいっぱいあって、ちょうど今現在、シャトルに乗るくらいの覚悟がいる。そういう状況で、観光旅行気分の「農協様ご一行」が月旅行することになってしまったからさあ大変。「酒はないか」「ねえちゃんお酌しろ」「景色が見えん、窓開けちまえ」と大騒ぎして、操縦士を悩ませる。

で、ここで操縦士が「これはあなたたちの安全にもかかわることだから、ルールを守って私の言うことを聞いてください」と必死で頼むのだが、月に空気が無いことさえ知らない農協様ご一行は一切聞く耳もたず。操縦士は発狂寸前になって(実際に発狂したかも、よく覚えてない)わめくのだが、やはり聞かない。聞かないと言うより、操縦士の使う言葉使いが高級すぎて通じない。

おそらく、今、この操縦士と同じ状況に追いこまれて発狂寸前でコミュニケーションの不全に悩んでいるシステム管理者がたくさんいると思う。そういう人たちがこの話読んだら「ツツイは予言者か」と驚くだろう。

しかも、なぜそんな人たちを月へ運ぶ必要があるかと言うと、予算不足のため、観光旅行で資金を稼ごうという現場の苦労を知らない「上」の判断、という所が、またもやこの状況と一致している。

バケツ臨界事故もそうだったけど、要するにこれは技術が拡散する段階で必然的に起こることなのだ。組織の惰性から技術的な必然性が無視されてしまうんですね。普及、拡散の一段階としてそういうフェーズがあるのが必然と思うしかない。

そういう本質をきっちりギャグの中核にして、鮮かなストーリを書くっていうのは、今さら俺が言うことじゃないけど、やはりすごい人です。しかもこの話は、あえてここには書かないけど、驚愕のものすごいオチで終わります。

(余談) しかし、SF作家をなめて悪口書くととんでもない大恥をかきますね。実際、前の項目書く時、なんか違和感があって、短かい文章なのにずいぶん推敲したんです。頭は忘れてても、体が覚えてるんです、あのへんのツツイ作品は。「なんか違う」という感覚はあったけど、文章ではなくて、内容に対するシグナルだったとはね。