のたうつ龍神のような車体

中沢新一さんは、ビックリするようなことをたくさん言うのだが、幸か不幸か何言ってるのかわからないことが多く、なかなか簡単にはビックリできない。たまにわかりやすいことを言ってくれて、何言ってるかわかった時はいつもビックリさせられるのだが、「技術」はシャーマンの領域にあるものという話にも随分ビックリした。

しかし、のたうつ龍神のようなつぶれた車体を見て、確かに、通勤電車は非日常の力と接しているものだったんだなあと実感する。非日常の力を日常的に扱う仕事というのは、難しい仕事だ。倫理とシステムが必要なことは当然だが、それだけでは足らないでしょう。

「畏れ」の気持ちが必要だと思う。

「畏れ」の気持ちを習う為には、技術者はやはりシャーマンの弟子であるべきで、それは、クールでロジカルな頭脳と熱い責任感と両立する。魔法使いという物凄い力を扱う職業における職能の本質は、日常的な作業の中でいかに「畏れ」の気持ちを持ち続けられるかということである。