らいおんの隠れ家 - ポール・グレアム「就職なんてもう古い」

印象に残ったフレーズを抜き出してみます。


組織は意識していないかもしれないが、あなたに組織が付ける評価額は、ユーザがあなたにつける評価額を推測したものだ。でも、その判断に対し、異議申し立てができる。望むなら、自分の会社をつくって、ユーザに直接評価してもらうことを選べるんだ。


大企業の重大な問題は、小さな会社ほど生産的じゃないってことで、その主な理由は、各人の仕事を評価することが難しいからだ。生まれたてのベンチャー企業を買収すれば、その問題は解決する。開発者が自分たちの有能さを証明した後に買収者は金を払うわけだから、最悪の事態は避けられるし、利益の大部分を手にできる。(だから、買収は「買収者にとってもいいんじゃないか」)


技術を追求する会社は、生まれたてのベンチャー企業に追随することを徐々に学ぶだろう。


投資家が力を持つのは、お金を出すからだ。起業に必要なお金が減れば、投資家が起業家に及ぼす影響力は弱くなる。だから未来の起業家は、嫌なら新しいCEOを受け入れなくても良くなる。ベンチャーキャピタルは失墜するだろう。


ブログが最近になってようやく流行ったのは、技術革新があったせいじゃない。檻が開いているとみんなが気づくまでに、8年もかかってしまったんだ。


失敗する危険性がある人生は、たいていの人は望まないので、平均すれば良い収入を得られる。「ベンチャー企業を始める」という極端な選択は、すごく怖ろしいから、ほとんどの人は試そうともしない。したがって、成功したときの報酬との比較で考えれれば、結局、心配するほどの競争はしなくて済む可能性がある。


ソフトが使われる現場は、ことに実際にお金を払う人は、想像とはぜんぜん違うからだ。たとえば、PowerPointの公式な目標は、アイデアを示すことだ。でもPowerPointの本当の役割は、演説の恐怖感を軽減することなんだ。中身のない話でも印象づけることができる。明るい部屋で自分の顔を見せるかわりに、暗い部屋でスライドを見させておくことができる。この手のことは、見つけようと思えば誰にでも見つけられる。見つけようと努力することが重要だ。

それから、私の内定者に情報断食のススメと似た話に思えた所。


大学生って、どうしてこんなに保守的なんだろう。いろんな組織で長年を過ごしたからだろうと思う。みんな人生の最初の20年は、ある組織から別の組織へと渡り歩いて過ごしたんだ。


経験そのものに価値があるんじゃない。考えがどう変わったかが重要なんじゃないか。「経験」したら、自分の考えがどう変わるんだろう?その変化を、もっと早めることはできないの?

あと、ここの部分は


過去に戻れるなら、世界中すべてのベンチャーキャピタルは、マイクロソフトに投資しただろう。でも誰が、当時のマイクロソフトに投資したっていうんだ?いったい何人が、あの19歳の若造がビル・ゲイツだと見抜けただろう?

馬鹿とcrazyの間に似た発想かも。


日本人は、クボヅカとジム・クラークを別のカテゴリに入れて、後者だけに金を貸そうとする。富士山の山頂だけ注文するようなものだ。頂上だけ持ってきてどこかに据え付けたらそれは富士山ではない。クボヅカという裾野から積みあげなければジム・クラークという頂上は得られない。

ということは、私がこれを日本独自の事情として論じているのは間違い?

参考: naoya_t (aka naochan) の日記 - ポール・グレアムのエッセイと和訳一覧