発酵説エントリが早速発酵したという話

WEB2.0サイト = 発酵食品説」というエントリを書いてから、二日ほどオフラインにしていて、帰ってから言及をチェックしてみたら、これがしっかり消費されているというか、見事に発酵してました。

雑記帳 - DRM=農薬説


DRMも適度に使われるのであれば、ユーザから受け入れられる。農薬も消費者にとっては無いにこしたことはないですが、生産性維持のため必要悪として受け入れられています。でも、極端に使いすぎれば、問題になる。

勝手に将棋トピックス - これからのウェブと将棋界のありかた


将棋の棋譜を一つの情報として捉えたときも、同じことが言えます。


棋譜は公開されたとたんに多くの人に鑑賞され、検討され、そしてせんすぶろぐや四間飛車党の備忘録のような充実した形に「発酵」することがあります。そのスピードに新聞や雑誌のメディアがついていけていないのは仕方のないことで、その流れはもう止まりません。

kinnekoの日記 - WEB2.0サイト = 発酵食品説


卑近な例だと、LANTANKは、公開された議論(製品のhackサイト/hack雑誌記事)を背景として、公開されたソフトウエア(SH-Linux, gcc,glibc,Debian,dodes,iWA版移植リポジトリ)で既知のアイディア(wizd,mt-daapd,WebDAV,mDNS)を実装したシステムなんだよな。

まんぞうブログさんは、「オープンソースマンション」の方への反応ですが、アメリカの大工さんの状況等をからめた分析が面白かったです。

depさんという建築関係の方からも大変興味深いコメントがありました。

Tociyuki::Diaryさんでは、「自然発酵と制御発酵」という切り口から、実際の発酵食品の製造法までたちかえった上で、アナロジーを広げていらっしゃいます。

辺境から戯れ言さんは、現実の日本酒の製造法をヒントにして、「規律訓練型権力環境管理型権力」という大胆な展開。


納豆やチーズはよく知らないが日本酒でなら(蔵元の方の話を聞きかじったことがあるので)いろいろ連想することができる。日本酒の醸造の現場はとにかく徹底的に清掃をする。お酒の酵母以外の雑菌を繁殖させないためだ。無菌室に近い状態を作りながらなおかつ目的の酵母が活動しやすい「環境」を作っている。わずかな雑菌の繁殖も味に影響する。これは単に無菌室を作るより難しい。


これを今風に言うなら,従来の無菌室で作った製品は規律訓練型権力を指向し Web 2.0 などの発酵食品は環境管理型権力を指向する,といったところか。発酵に使われる酵母は自由に活動しているように見えるが,それは発酵を阻害する要素をシステム的に排除しているからだ,と言うこともできる。つまり発酵を維持するために必要なものを議論する際にはシステム論的な視点が欠かせない。

個人的には、WEB2.0等のバズワードに批判的な立場の荒川さんからも言及いただいたことは、けっこう嬉しかったです。

そして、おれカネゴンさんは妄想的に見えつつ実は現実的な鋭い指摘、


やがていつか、ソフトウェアをミクロなレベルでコントロールすることがほぼ不可能なまでに雑多なソフトウェアが増殖して互いに複雑に関連しまくる日がおとずれ、もはや人間の手に負えない(=誰もメンテしたがらない)ぐらいになってしまったら、細菌の培養またはガーデニングのようなマクロまたは大雑把な制御を行うしかなくなるということでいいのだろうか。ノードの数がアヴォガドロ数並みになったらこういう世界になってくれるだろうか【本気で待つとはおれカネゴン】。

しかし、これがほとんどはてなブックマークで一覧できるという所が、凄いというか面白いというか。実質的には梅田さんが火元ですから、面白い言及がはてなに集るのは当然かもしれませんが、内輪で循環的に参照しあう閉じた議論、つまり「腐った」議論にはなってないと思います。

それぞれが独自の視点とバックグランドを持っている人で、他ではあまり接点の無い錚々たるメンバーが、単独エントリーとして充分読ませる面白いエントリーを書いていて、それが機械的に生成された1ページに並んでいるわけです。

これこそまさに「発酵」という感じ。