The Net の構造計算書

このインターネット全体、"The Net" はマンションや橋や高層ビルより、はるかに複雑な構築物だが、最初にその構造計算をした人は、たかだか数十のルータだけを想定して、「核攻撃されても大丈夫」という計算をした。

この構築物は、当初の設定よりはるかに乱暴な使われ方をしている。最初の構造計算には、ワームもWinny2ちゃんねるも含まれていない。だいたいWEBがその時にはまだ生まれてない。何より全米トップクラスの研究者というユーザ層が想定されていて、そこから比べて何倍も馬鹿で流動的なユーザを考えに入れてない。

普通ならいつ自壊してもおかしくない。よく持ったものだ。

分散処理→レイヤードプロトコルオープンソースという、この構築物全体を統治しつつ発展する一連の思想がある。WEB2.0は、その系譜に属していると思う。それは技術であり思想であると同時に、中核にたくさんの人々の「思い」という、文系的な概念を含んでいる。それが無ければ、"The Net"は巨神兵のように自壊していたはずだ。

"The Net"を構築し運用するに足るだけの「思い」を人類は持っている。それは「つながりたい」という要求であり、つながる先に人がいて欲しいという欲求であり、つながる人が自分と違う人であって欲しいという願いだ。

そのような大きな大きな「愛」のようなものに支えられて、The Netは今日も動いている。