技術者の倫理を問う

うなずく。特にココ。


世の中は曖昧であって、「合法」と「違法」の間には広大なグレーゾーンが存在する。テクノクラートは、許可/禁止の判断を独占し、彼らが許容できるもの以外は排除される清潔な世の中を望む。リベラリストは、多様な判断と、世の中の不完全さを許容する。

それからココ。


強権国家において反政府的文書しか流れない匿名システムが動作していたら、そこにアクセスする人々全員が反政府活動従事者であることは自明にわかってしまう。従って、匿名システムは平時より大量の利用者を抱えている必要があり、そこでは雑多なものが流されていてこそ意味がある状況なのである。


完全な情報発信者匿名システムは、必要な状況になってから展開すればいいのだ、と高木さんは述べる。しかし、まず、「権力構造の変化」なるものが生じた場合、そのようなシステムの構築は、現状以上に困難であることは間違いがない。

私は、この問題に、宮台さんが最近言っている、「流動性と多様性のトレードオフ」や「聖なるもの/俗なるもの/穢れたもの」という話がからんでくると思っている。