ネットビジネスは借り物競争

「競争」というと徒競走しか思い浮かばない人が多いが、ネットビジネスにおける競争は借り物競争のようなものである。

走り出してしばらくすると紙があって、開くとそこにユーザニーズが書いてある。とにかく、そこに書いてあるものを早く持ってきた人の勝ちだ。

時々、ウケ狙いでヘンテコなものを持ってくるよう書いてある紙が混じっている。ひろゆきが引いた紙にはよほど変なことが書いてあったらしいが、彼はどこからか、ちゃんとそれを借りてきた。書いてあった通りの「2ちゃんねる」というサイトを借りてきて我々に見せた。

徒競走で勝ちあがって来た人が、借り物競争の指揮を取っている。「筋肉を鍛えろ」とか言ったり「肺活量」とか「瞬発力」とか数字を口にする。走り出す前に、何が必要か準備しておけと言う。準備ができるまで走り出すなと言う。誰にも準備ができないので、参加しようとする人がほとんどいない。

まず走り出さないとユーザーニーズが書いてある紙の所までたどりつけない。だから、とにかく走り出すことが重要だ。そして、そこには何が書いてあるかわからない。あまりマジにならないことだ。ただ「借り方」のじょうずな奴が有利なのは確かだから、「借り方」の訓練だけはした方がいいかもしれない。ネットビジネスは、バリューチェーンのしっぽを借りてきてユーザに届ける競争でもある。

見ているほうも、徒競走を応援する感覚で借り物競争を見ている。あまりマジにならない方がいいと思う。これは野次馬が見て楽しむための競技である。

(追記)

はてなの近藤さんの独創性も「コンセプトや人手を借りてくることの天才」というかたちで集約できると思う。