TBSの捏造報道

政治家の発言を完全に逆の意味として報道してしまったわけで、報道機関として致命的なミスだと思いますが、おわびには、責任者の名前や日付等が入っていないし、具体的な再発防止策等にも触れておらず、とうてい誠意のあるものとは言えません。

また、単なるテロップの間違いではなく音声もそれに合わせて調整されています。発言から放送まで数日あったことや、他のメディアですでに報道されていたことを考えると、うっかりミスというよりは意図的なものと考えるのが自然だと思います。私は、この直後、同じ局でサンデージャポンという番組を見ましたが、そこでは「100%正当化するつもりはない」と正しく報道されていました。

言語道断であることは言うまでもないのですが、これを細かく分析すると興味深い事実が浮かびあがってきます。

まず、日韓併合については、次の3つの考え方があると思います。

  • A: 全面的に日本が悪い
  • B: 日本にも朝鮮にも責任がある
  • C: 全面的に朝鮮が悪い

石原知事はBの立場で発言したのですが、TBSはこれがCに見えるように歪曲して報道したわけです。もし、これが故意だとしたら、BをCに見せようという意図になります。本当にミスだとしたら、BとCの違いは大きなものに思えないので、重大な問題と認識していないことになります。どちらにしても、BとCの違いを重要視していないことになります。

コメンテーターの発言などから推測して、TBS(番組製作者)の立場はAに近いと思われます。BとCを比較すると、Aの立場から最も遠いのがCでBは中間にあります。普通に考えると、自分の主張と全く同一の考えが望ましいのは当然として、ある人がそれに同意してくれることをどうしても期待できなければ、次善の策として一部分でもいいからなるべく自分の立場に近づいてくれるよう望むのが自然だと思います。

実際今回の発言でも、石原知事も(部分的ではあるが)日本の責任を認めているわけで、その共通部分を基盤にして、そこからスタートして共通部分を一歩一歩広げていくべきではないでしょうか。あるいは、一切日本の責任を認めない、もっと極端なことを言う人と石原知事を比較して、その相違点を強調して論点としていく方が、自分の主張を通しやすいと思います。つまり、CをBにして、BをAに近づける努力です。

しかし、TBSのやったことは、故意であれミスであれ、これと全く逆です。一般的に左翼の人には、共通にこのような傾向が見られると思います。

  • 自分の主張に全面的に同意しない人は全て敵と見なし同一視する、
  • 相手の主張を細かく分析しないで一括して感情的に論じる
  • 戦略的、漸進的な説得を行なわない
  • 部分的な共通点によるつながりを重視しない

私は、日韓併合の是非について自分で直接的に論じるだけの根拠を持ちあわせていませんが、このような考え方の人が、錯綜し矛盾する複雑な資料を分析して正しい結論に至るとは思えません。だから、どうしてもAの主張には疑いを持ってしまいます。また、なにより多様な価値観の同居を必要とする現代社会において、報道という重要な仕事にたずさわるのは不適だと思います。

私は、歴史を完全に客観的に記述するのは不可能だと思っていますが、資料から同意できる事実を導き出して行くプロセスにはある程度納得できる基準があり得ると思います。この問題を含む日本の現代史全般について、なるべく資料に基づいた論理的な議論がつみかさねられていくことを望みます。

石原知事のような発言については、論拠と独立してその意図を精神分析的に吟味して、背後にある潜在的、無意識的な動機について議論すべきだと思うのですが、残念ながら、そのような冷静な批判は不可能な状況に思えます。

なお、TBSに見られる上記の傾向が左翼の人に一般的に見られる、と言うのは私の偏見かもしれませんが、それが違っていたとしたら私は100%自分を正当化ムニャムニャ・・・(TBS仕様語尾不明)。

(追記)http://news5.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1068036370/211 に鋭い指摘がありました。ほぼ、意図的な捏造と確定したと言えるでしょう。


(単なるミスだとしたら)何故「私は日韓合併の歴史を100%正当化するつもりはない」の部分を使ったのだ?石原を非難するなら必要ない部分だが?

「テロップをつけた人が勘違いした」とTBSは主張していますが、その人とは別に、長い会見の中からその部分を使うと決めた人(以下選択者)がいるわけです。あの部分だけ単発で聞いたら聞き間違えるのは仕方ないですが、選択者は、一連の会見の流れの前後関係の中であの発言を聞いているわけです。さて、選択者も同じように聞き間違いをしていたのかどうか?

もし、まとめサイトに前後の発言も含め、石原知事の会見の全文がありますが、前後の流れを聞いた上で聞き間違いをしていたなら、日本語の理解力が致命的に不足している。それでは選択者という立場になれるわけがありません。

もし、選択者が聞き間違いをしてないのなら、石原知事を非難するという番組の主旨から考えて、あの部分を選ぶ理由がありません。「どちらかといえば彼らの先祖の責任」という石原知事の本筋の主張をVTRにした方が非難しやすいはずです。

だから、選択者は捏造しやすい語尾の聞きとりにくい部分を選んで、テロップ作成者に捏造の指示をしたと考えられます。そして、謝罪の文章に経緯の詳細(5W1H)が書かれてないのは、「誰が」「いつ」間違えたのを書くとそのあたりがハッキリしてしまうからですね。

しかし、この推理のキーポイントは全部事前に見せられていること、知っていたことですが、私は名探偵に指摘されるまで気がつきませんでした。