既得権者についての考察

既得権を持つ人は、だいたい変化を嫌う。俺はそんなもの持ったことが無いので、これは当然のことだと思っていたが、よく考えてみると大きな謎がある。

市場が固定されていたら既得権のある人も現在以上に儲けることはできない。既得権のある人が率先して変化を起こせば、次の市場でも優位に立てる。既得権を使って、情報も人材も資金も調達できるのだから。

例えば、マスコミは2ちゃんねるを見て裏を取ることができる。これまでに確保した取材源を活用すれば、大抵の2ちゃんねらより2ちゃんねるの情報を有用に使えるはずだ。

しかし、そのように既得権を活用する人はいたとしても少数派で、たいていは破壊的イノベーションを無視して、変化を否認する。意外なことに大半の既得権者は金の亡者ではなくて、他の価値を優先する人の方が多いということだ。

卑劣な手段で変化を阻害する人たちのことを強欲な人だと思ってしまうが、現在受けとれるものに満足している人のことは「強欲」とは呼べないような気がする。「強欲」でない人がたくさん市場にいて、市場の中で重要なポジションを占めているとしたら、この問題は経済の問題ではなくて倫理の問題なのではないだろうか。

もちろん、彼らは「強欲」なのではなくて、目の前にあるチャンスが見えない馬鹿であるという解釈もあるだろうが、それはあまりにも彼らを馬鹿にしている見方だと思う。