北斗債拳?

土地を担保に金貸して、土地が値下がりして取りっぱぐれたらそれは不良債権だと思うでしょ?残念でした。ハズレです。取りっぱぐれたものは「損失」です。「あちゃー、しくじった」と言ったら、そう言った瞬間にそれは債権ではなくなります。

そもそも「債権」っていう言葉は「資産」に含める項目なんだよね。つまり、いざという時に金にできるものが「資産」です。まず当然だがキャッシュが資産、株とか貯金通帳も資産。 1万円確かに貸したという借用書があれば、それも1万円の資産と見なす、これを債権と言うわけです。

じゃ、金が戻ってくるみこみのない借用書はどうかというと、「もうダメだ、こりゃ」と言ったら、それは資産にならない。その消えた分を「損失」として計上しておしまい。「いや、あの人は義理がたい人だから、絶対にいつか返してくれるはずだ」と言いはれば「資産」になります。ただ、あまりに嘘がみえみえだと債権と言ってもあてにならない債権だから「不良」債権になるわけ。だから、最初の問題の答は「土地を担保に金貸して、土地が値下がりして取りっぱぐれて」に「現実逃避」という条件をつけて、それではじめて立派な不良債権

世の中にはなかなか白か黒かでわりきれないもので、男だか女だかわからん奴は最近特に増えたし、少年犯罪もやることは大人なみになる一方、成人式クラッカー乱入事件みたいに大人のような子供もいて、これも分類が難しくなってきたし、やめるんだかやめないんだかよくわからない総理大臣もいるし、返すんだか返さないんだかわからん借金があってもしょうがないかもしれない。

そういうグレーゾーンを「債権」と言いはるならまだわかる。しかし、今の不良債権ってのはすでに北斗神拳くらった悪党みたいに「おまえはもう死んでいる」状態なんだけど、「ひでぶっ」とか言うまでは生きてるって言いはってるようだね。

それで「不良債権を処理する」とは、「おまえはもう死んでる」奴に「ひでぶっ」と言わせることかと思うと、これは「直接処理」と言って確かに「処理」ではあるけどこれまでは普通はこうやらなかったみたい。「おまえはもう死んでる」奴一人につき、スペアの悪党(引当金)を用意してきて人数の帳尻を合わせるのが「間接処理」で、これまではこのパターンが多かった。最初に10人悪党をつれてきて、3人ケンシロウにやられたら、あと3人つれてきて、13人いるけどいつ「ひでぶっ」になるかわからん奴が3人いるから合計で10人、みたいなよくわからん変な計算をするとこれまではこういうのも「処理」したと言っていいみたい。ところが、「ひでぶっ」になるまでは見ため普通に話もするし歩きまわるから、「こいつはまだケンシロウにやられてない」とゴマカす銀行が多すぎて、ちゃんと「ひでぶっ」しなさいということになったらしい。

俺は当然北斗の拳は「ひでぶっ」を含めて好きで「教育上よろしくない」なんて言う言葉を使ったことがなかった。今後もそんな言葉とは一生縁がないだろうと思っていたが、「不良債権」という嘘をつかないと存在しない言葉をテレビや新聞で使いまくるのは、それこそ教育上よろしくないよなあ。せめて「半年で『おまえはもう死んでる』奴は銀行の帳簿からいなくなります」って約束だけは嘘にしないでもらいたいものだ。