P2Pに関わるアサマシ系のジレンマ
無印吉澤さんに、eBay over Skype という、eBayのSkype買収についての鋭い意見がありました。
「eBayがSkypeを買収しなければ出来ないこと」なんて、そんなもの一つしかないでしょう。それは、eBayのP2P化です。eBay over Skype! Web over P2P!
要するに、(eBayが言うような)直接的な取引のプロセスにSkypeを統合する方向ではなくて、取引の周辺にあるコミュニケーションを強化するためにP2P技術を使うんじゃないでしょうか。
「取引の周辺にあるコミュニケーション」に投資したということですね。この投資によってeBayが得るものは、P2P技術とSkypeの中に生まれつつあるコミュニティ群。それが「取引の周辺にあるコミュニケーション」を強化することで競争力強化につながると。
なるほど。
他社にないeBayの強みは、オークション取引という金が動く地点をしっかりつかんでいるということでしょう。それがあるから、集客と金を吸い上げる仕組みをアサマしく連動させる必要がない。P2Pが「取引の周辺にあるコミュニケーション」を支えてくれれば、そのコミュニティに人が集まり、タダで集客できるわけです。集客した中で実際に金を落とす所まで行く回収率みたいなものがいくら低くても、取引の絶対数さえ上がっていけばeBayは儲かります。いくらヒヤカシ率が増加しても気にならないわけです。
WEBとP2Pの違いは、アサマしさの程度ですね。WEB上の各種サービスはタダに見えても、実はユーザを広告や買い物に手練手管で誘導していくアサマしさがあります。P2Pは管理しづらくアサマシ系と相性が悪い。P2Pに移行するには、アサマしさを捨てなければいけない。
それができないから、GoogleやYahooは、P2Pに移行できないという制約があるのですが、eBayにはそれがない。だから、時代の針を進めることが自社の利益につながる。そこを狙ってのSkype買収ですか。
P2Pは、純粋に技術的に見ると非常に有望なものですが、アサマシ系のビジネス的な観点から見ると、プリミティブで使いにくい技術です。しかし、回収率を気にしない企業にとっては、そのデメリットは問題ではない。ユーザが評価してユーザがそこで遊んでくれればいいわけです。それが、WEBのビジネスモデルをぶっこわしても、困るのはヨソの人で、ウチは関係ないもんねー、ということですね。つまり、これはイノベーションのジレンマ的な問題なのですね。
これがいくらかでも当たっているとしたら、「Googleよ、おまけはもう死んでいる」ってことになるわけで、本当に時代のスピードは恐しい。
(9/23 追記)
「おまけは」は「おまえは」の間違いでした。完全なタイプミスですが、「おまけはもう死んでいる」でも意味が通る所が不思議。
こういうミスをしても、だんだんと簡単にはorzしなくなってきたけど、これはいいことなのか悪いことなのか?