集団知の暴走は歪曲報道と「知識人」が原因
ttpoohさんのコメントにお答えしながら、<%=kw '昨日の一連の記事?date=20050822' %>をさらに補足してみます。
集団知が正しく働くには、成員の(予測)能力がランダムに選ぶよりは正しい解を得られる、という前提があります。それが成り立たないゆえの衆愚政治の発生と言う過去の事実があるのではないでしょうか。
CNET Japan Blog - Lessig Blog (JP):集団に知はあるのか?で議論されていることですよね。
まさに、今、成員の(予測)能力が50%を超えて、集団知が機能しはじめているのだと思います。
ネットに直接アクセスしてそこから影響を受けるユーザはまだ少数でしょうが、ネットはマスコミに少なからぬ影響を与えて歪曲報道を抑止しつつあります。
Yahoo!ニュース - 共同通信 - NHK問題、早期決着図る 朝日新聞の秋山社長
朝日新聞社の秋山耿太郎社長(60)が17日までに共同通信のインタビューに応じ、NHKの番組改編をめぐって朝日側が「政治介入があった」と報じた問題について、「いつまでもいがみ合っている話でもない」と述べ、9月にもまとまる社内の第3者機関・「NHK報道」委員会の報告を受けて、早期決着を図る方針を明らかにした。
「早期決着を図る方針」によって、従来のような報道が抑えられているのでしょう。
また、Irregular Expression: 「郵政民営化で350兆円が米国に奪い取られる」というデマで批判されている森田実氏のような例もあります。(取りあげられているFTの記事については極東ブログ: ロナルド・ドーア先生のフィナンシャルタイムズ寄稿にも解説あり)
従来は、マスコミにフィードバックをかける手段が無いことから、集団知が暴走したのではないでしょうか。戦時中の朝日新聞の戦意高揚報道などがその例です。
また、市場と選挙という対比で言えば、選挙は正解(より良い候補者)を当てた成員に対する見返りが直接的に存在しないため、知の集約システムとしては出来が悪いものと考えられます。自分に対して直接的な利益誘導が無い候補者であっても、他の有権者(ここではランダムより賢いと仮定します)が投票しそうな候補に投票することで、自分に利益誘導とは違う形のメリット(市場であれば金銭的利益)を享受できなければ、集合知を形成するための集約システムにはなりえないのではないでしょうか。
これも重要な論点ですが、同様に、現在変わりつつあるポイントだと思います。日本がノイジーマイノリティに食い尽くされるという危機感があれば、正解(選挙区でなく日本全体の利益となる候補への投票)へのインセンティブを大半の参加者がが持つことになります。マスコミが無意味な報道をやめれば、自然とそのような認識は得られます。
衆愚政治から全体主義への道は、マスコミの歪曲報道や権力によるメディアの恣意的な利用が主たる原因だと思います。私は「知識人」という言葉を「自分が大衆より良き人間と考える人」という意味で使っていますが、森田実氏のような「知識人」は、そのようなマスコミや権力と意識的無意識的に共犯関係に陥りやすいのでしょう。
ネットがそれを監視することで、集団知が機能しはじめていて、それに気づいた小泉さんは、大きく無党派よりに舵を切ったのだと思います。