松本はじめ君名言集

しゃべり場という、 10代の少年少女が語りある番組があるが、これに、松本創(はじめ)君と言うなかなか素晴しい少年が出ている。彼は小学校5年から学校へ行かないで、無人島へ行ったり演劇をしたりで、非常にユニークな生き方をしている人だけど、そういう独自の生き方を自分自身のリアルな言葉で表現できてることが凄い。彼の言葉を文字に書きとっても、そのヴィヴィッドな感覚は記録できないと思うが、あまりに感動したので、書きとめておきたい。

  • 高校とか大学出た方が安定の可能性は広がるかもしれないけど、どの道、つかめるのはひとつじゃん。
  • 学校行ってる時に行かないっていう選択肢があるってこと、気づいてた?てか、高校へ進まないっていう選択肢がさ、進むのと同じレベルで存在してた?
  • 選択肢の中で俺は勉強したいから行くっていうのはいいと思うし、俺は学校自体は否定するつもりはないから。ただ、その前に行かないってことがあるのを知っておくべきだと思うのね。
  • なんで勉強するのかってのは、要はこれ衝動なの、単純な欲求なんだよ。
  • (はじめみたいに衝動ばっかで動いてたら疲れるよという声に) 疲れるか?俺疲れてないよ。
  • (松本のは自分の狭い体験が全てをいい表わしてるかのように一般化されちゃうから、それはすごく危険だと思う、という声に) 何で今を生きられないの?今を。 (何でお前は生きていけるの?) 今は今あるから。
  • あしたあさってのことが不安だったら、今楽しくないじゃん。そのためにあしたあさってのことを考えるのは、今考えてるのと一緒じゃん。そうじゃなくて本末転倒・・・何だろ。わかんね。(とここで髪をかきながらもすごくいい笑顔)
  • 知らない世界のことを何で頭から否定できるの?想像してみてごらん。そういうのが生きてんだよ。いろんな社会があってさ。いろんな法則で成りたってて。その中のひとつからの視点だけで、別の社会を否定されるってのは、その社会に生きてる奴にとってはメチャクチャ頭にくることなんだよ。
  • 知らないのはわかるよ。話聞いて想像しろよ。それに納得して、「ああそうだね。俺もそうしたいよ」じゃなくていいから。そういう世界があって、それをわかれよ。認識しろよ。
  • こういうこともあるし、俺はこういうこと選んでこうだった。ただ、それを伝えたいんだ。
  • (お前がうらやましいけど俺は逃げないという声に) 俺は、別に逃げてるわけじゃないんだ。俺だって、最初まじめに学校行ってる所からはじまってるんだ。で、ちょっとずつなんか、亀裂が生じたりとかいろんなことがあって、ちょっとずつのつみかさねでこうなったりとか、だから、日々でかわってんたんだよ。突然、こうなろうって決めてこうなったわけでもないし。

文脈を言うと、ある中3の少年が「何のために高校へ行くんだろ、勉強するんだろ」という疑問を発したのに対して、松本君は「学校へ行かない別の生き方もあるんだよ、もちろん行くという道もある。両方を充分吟味して、選択したらいい。そして、俺は行かない方を選択してこうなった」と言いたいのだが、他の少年たちには、無理に学校へ行かない選択を押しつけているように聞こえてしまうのだ。それに対して、松本君は上に書いたようなさまざまな表現で、それを伝えようとしている。

必ずしも自分の生き方(選択)に納得できてないが、その道しかないと思っている他の少年たちにとっては、この松本君の存在というのは、ひどく圧迫感があるらしく、どうみても何の押しつけもしてないのだが、そのナチュラルでナマの表現が、非常に脅迫的に写ってしまうらしい。それで、かなり言葉のやりとりがきつくなって、別の少年が怒って退場する事態となってしまった。その中での言葉だ。

他の少年たちも素直で若者らしい感性もある子たちなのだが、「自己責任と別の選択肢」というものを提示されると本能的な恐怖心が出てしまうようだ。いったいこれはなんだろう。というか、ひとつの日本という国の構図を見ているようだ。それはともかく、松本君の自然体はとにかくカッコよかった。