敬語とConvention Over Configuration

前のエントリで、次のような表現を使用した。

申し訳ありませんが接続するにはネットワークカードとケーブルとハブが必要になりますと申し上げると、「だって、これ一本で他に何もなくてもつながります、と箱に書いてあるじゃないか」と、そうおっしゃったそうだ。

この二つの文は、両方とも主語を省略しているが、前後を含めて読めば誰が主語なのかは明確に分かる。

「申し上げる」という謙譲語の主語は、この場面の中で立場が下の人=サポート担当者で「おっしゃった」という尊敬語の主語は、立場が上の人=お客様だ。

古文のテキストでは、こういうテクニックてんこもりの文章が出てくるけど、日本語には、意味が明確なままで主語を省略するテクニックがある。

Ruby on Rails という今話題のソフトの設計思想に「Convention Over Configuration」というスローガンがあるが、これと似ているような気がする。

つまり、意図的に規約を導入することで、「彼は」「彼に」「彼を」という繰り返しを避け、スピード感を保つことだ。

だから、「人間関係には必ず上下がある」という日本社会における規約も、活用方法次第なのかもしれない。