勝ったのは無党派・リベラルか労組・マスコミか

参議院選挙は民主大勝に終わったわけだけど、勝ったのは無党派・リベラルなのか労組・マスコミなのか。

たぶん、どちらも「勝ったのは自分たちだ」と思って浮かれているだろう。

負けた方の自民党は、地方の保守層が強いはずの一人区をいくつも落としていることから、土建政治がいよいよ機能しなくなっていて、それが第一の敗因だとみんな思っている。公明党の組織票もそれほどあてにならないこともはっきりしている。負けたことによっていろいろ揉め事のタネはあるにしても、敗因については大きな分裂は無いだろう。

勝因について意見が一致しない勝者というのは、意外に不安定なもので、これから民主党の党運営はかえって難しくなると思う。

年金問題を徹底追求する長妻議員は労組に嫌われているし、マスコミが全力でスルーするTBSの不祥事をきちんと追求した唯一の議員が枝野議員だ。証拠は無いが、原口議員に不可解な圧力がかかった兆候もある。

たとえばこのへんの無党派を背景にしている若手が勢いづくと、どこかの支持母体と衝突しそうな気がする。

寄り合い所帯であるのは自民党も同じだけど、自民党は発足時からずっと呉越同舟をやっているので、呉越同舟にも歴史がありノウハウもある。民主党にはそれが無いのであやうい。

そこで「さすがだなあ」と思ったのが、小沢さんの「負けたら政界引退」宣言。勝った後の民主党は、より強いリーダーシップが必要になり、それが無ければお得意のブーメランでまた自爆してしまう可能性が高い。小沢さんは、そこまで読んでのことか、あえて一歩踏みこんでリスクを取りネジを巻いたことで、党首としての重みを増した。ただ勝つことを考えていたのではなくて、勝った後のことを考えて党内に睨みをきかせる為の発言だったのではないか。

民主党の小沢代表は29日夜、参院選結果を受けた記者会見を取りやめ、テレビにも出演しなかった。党幹部は「かぜ気味で静養している」と説明したが、党内では健康不安を指摘する声も出ている。

これも何となく深謀遠慮っぽい匂いがする。「静養」は口実で、じっくり情報を吟味しているのではないか。

さらに、思いっきり希望的観測を言えば、ここで表に出ないことは、小沢さんのマスコミ不信の表れだと思う。「勝ったのは俺であって、あんたたちじゃないんだよ」と労組・マスコミ方面とその背景に釘をさしているのかもしれない。ここでヘタな言質を取られたら、本当に労組・マスコミが勝ったことになってしまうということだ。

民主若手にとっては、小沢さんという人は目の上のたんこぶだと思うけど、やはりもうしばらくは小沢さんの手駒でいた方が彼らの力は発揮できると思う。そして、その間に学ぶべきことを学び、いつか本物の無党派リベラルが主導する党を作って欲しいと私は思う。