そのシルエットは馬かシマウマか?

Chikaさんの子供の頃のエピソードが面白かった。

小学校に入学する際の視力診断は、「シルエットになった動物の名前を言う」というものだった。馬とかリスとか、そういったものがいろいろなサイズで黒く描いてある。が、しかし。「馬」のシルエットなのか、「シマウマ」のシルエットかわからない・・・・・聞くのも恥ずかしい・・・・と思った私は「わかりません」。「赤アリ」か「黒アリ」かわらかない、、、、「わかりません」。というわけで、全て「わかりません。」検査結果は「仮性近視。殆ど見えていません。」

そのシルエットは馬かシマウマか悩むセンスって素晴しいなあと思う。他の子にはそこに馬しか見えない時に、Chikaさんには馬とシマウマが見えているわけで、それは大きなアドバンテージである。たぶん今でも、他の人が見過す所に何かの可能性を見て、それが自分や回りを助けているケースがたくさんあるんじゃないかな。

えー、About Meのページの下のほうに書いてあるが、私は3歳児検診で「軽度の知恵遅れ」と診断され、無理なことをさせないようにという親の配慮によりひらがなも教えられないまま小学校へ行ったのであった。「無理なことを・・・・」というのは、3歳児検診をした保健婦さんの助言だったとのこと。その日は家族会議が行われ、「ばかじゃないかと思ってはいたけど、本当にばかだったんだ・・・」と肩を落としたらしい。

これは若干推測も混じるが、「本当にばかだったんだ・・・」と「肩を落とす」ご家族に恵まれていたことはラッキーなことだ。「肩を落とす」ってことは、「本当にばか」でもこの子はこの子だからいいやという諦めであって、それが「承認」ということ。その「承認」があったからこそ、「そのシルエットは馬かシマウマか?」を悩むセンスが損なわれずに大人になれたのではないだろうか。

趣味実用兼ねてギークの発言をたくさん追いかけているのだけど、ギークと呼ばれる人たちは、ほとんど全員共通してこういう傾向を持っている。「こういう傾向」を表現する言葉として、「そのシルエットは馬かシマウマか悩むセンス」っていうのは、なかなか使えそうな気がする。そして、その傾向は、未来のギークがまだ子供だった時には、親たちにとっては悩みのタネだったんじゃないかと思う。ギークたちがその傾向を温存できたのは、本人がよほど強い人であったか、親が「バカでも我が子は我が子」という開き直りを持っていたかどちらかだろう。

「肩を落とす」ことができずに、「これは馬でしかなくて、あなたはここに馬以外の可能性を見てはいけない」と教えてしまう親の方がずっと多いと思う。「馬以外の可能性を見ることを断念したら、その時はじめてあなたは良い子でその時はじめて我が家の子」と言われてしまうと、馬以外の可能性を見ようとする時に、潜在意識で非常に恐怖を覚える大人になってしまうだろう。

そういう意味で、Chikaさんがちょっとだけうらやましかった。

ただ「台風一家」っていうのは、借力トップ画像になっているくらい、ポピュラーな勘違いのようですよ。他にもバカ日本語辞典/言葉/勘違いしていた人達には、強力な勘違いが多数。

  • 「脱サラ」を「サラ金から借り逃げすること」と思ってました。脱サラして喫茶店を経営とか聞くと、本気でスゲェって思ってました。
  • 「まっすぐ帰る」を「途中一度も曲がらないで直線距離で帰る」意味だと思っていた。/どうやったらそんなことが出来るのか、と子供心に不思議に思い続けていた。
  • 中学生まで賄賂とは「お食事券」で取引されるものだと思っていた。「食券乱用のお食事券」「団郷坂サービスエリアのお食事券」
  • 小学生のとき、雑誌の投稿欄の「匿名希望」は実在の人物の本名だと思っていた。どの雑誌にもすごい数の投稿が載っているから、どんな人なんだろうと、感心していた。/「投稿特ホウ王国」を見ていて、よく匿名希望さんに出会うので、この人すげえ!と思っていた(当時小学生)。
  • 小学生の中学年まで、TVニュースでの「自首」とは、「自分の罪を悔いて、首吊り自殺して詫びること」だと思ってましたし。「何で、警察へ行って首吊るのかな?」とか、そこだけマジになってみたり。
  • 「永久歯」を「A級歯」だと思っていた。当然「乳歯」は「NEW歯」
  • 小学生のころ、選挙の街宣車でウグイス嬢が「ご声援ありがとうございます!」っていうのが「五千円ありがとうございます!」にしか聞こえず、子供心に「立候補すると金になる」と勝手に思い込み、将来に夢に「選挙に出てお金をもらいたい」と書いた。

(追記)

この間、娘の友だちが、シーンと静まり返った教室で、おかしなポーズを突然とったので、思わず噴出してしまった。 「ごめん、あんまりにもおもしろくて」とその子のお母さんに謝ったら、 「いいのよ、他人の子だから笑えるのよ。私も自分の子じゃないなら笑ってるから」

「自分の子じゃないなら笑ってるから」

これを読んで、なぜか頭に浮かんだのがjkondo氏のこと。私は、彼のファンで彼がいる限りはてなを使い続けると思うけど、「じゃ、おまえあいつの親になるか?」と言われたら尻込みする。はてなの株で大儲けできそうな気がするけど、それでもやだなあ。

北沢さんも猫蛙さんも、なかなか親御さんを悩ませる子供だったようで(トットちゃん読んで「あんたはこんなもんじゃない」というのもすごいエピソードだ)、将来面白いブログを書くことになる人間の親なんかになるもんじゃない。まして、それをホストする会社の社長の親なんかには‥。