天下りも年金と同じく現役世代が高齢者を支えてるんだけど大丈夫?

天下りというシステムは、現役世代にはおいしいことは無い。それどころかシステムを維持する為に余分な労働をしている。その対価を受け取るのは自分が定年になってからのことだ。つまり、年金と同じく、支払いと受け取りの時間差があって、システムに対する信頼が維持されているうちは、現役世代がそれに対して期待どおりの貢献をすることで回っていく。だが、信頼が維持されなくなった時には崩壊する。その時に、払うだけ払ったのに受け取り分を受け取れない世代が発生する。

崩壊のきざしはいろいろあるけど、やはり第一は情報流出。たとえば、愛媛県警が架空捜査報告書 ウィニーで流出

流出した捜査報告書の中で02年に未解決殺人事件の情報を提供して謝礼を受け取ったと記載された住民2人が、県警から事情をまったく聴かれていなかったことが3日、関係者の証言で分かった。捜査報告書通りに捜査報償費が支払われていれば、実態のない捜査報告書に基づいて公費を支出していたことになる。

暴露ウィルスは一過性の特殊な事件かもしれないが(そうでない可能性も充分あるが)、出た情報が止められなくなって行くのは確実だ。ブロゴスフィアは生態学的システムで刺激に全体的に反応する。不可解な殺人だっていっぱい起こるんだから、不可解な自爆暴露だってこれから起こるだろう。周囲には理解できないキレ方をして、堂々と実名で自分の犯罪をブログに書いて、それで意気揚々と自分も逮捕されちゃう人だって出てくるかもしれない。あるいは、警察が架空捜査報告書やNシステムについて追及される過程で、身を守る為にもっとデカイ事件をリークしたりはしないだろうか。流出の経路はいろいろあるけど、生態学ブロゴスフィアでは、流出した重要情報が一瞬で全体に拡散して回収できないことはハッキリしていて、それが一番重要な点だ。

だから、天下りというのは、将来的には破綻することが確実なのだ。もちろん、国民の目をごまかす手法も発展するだろうが、その高度化したハウトゥーに関する文書そのものが、いつかどこかに流出することになる。

そして、破綻した時に、支払いをしたのに受け取りをもらえない不幸な世代が発生することになる。

「支払い」というのは、単なる余分な労働、残業のこともあるし、それを維持する為に自分たちが使える予算が減るということもあるし、(バレる確率は低くとも)犯罪行為を犯すというリスクという意味もある。とにかく、今すぐに自分のペイが増えるわけではないのに、天下りシステム維持の為に働いている人たちがいるのは確かだ。

その人たちが、無償で天下りシステムの維持に貢献するのは何故かと言えば、将来自分がそのシステムから高額の退職金や給与を受け取ることを期待しているからだ。受け取りは後になっても、支払うお金(労働時間や潜在的リスクを金銭換算したお金)より、受け取るお金の方がはるかに多いから、それは充分割に合う行為だ。

しかし、情報流出の進行から見て、近い将来、どの天下りシステムも不意に晒される日がやってくる。どこがどのようにバラされるかは予想できないが、どの天下りシステムにも暴露され崩壊する一定のリスクがあり、その確率は日々高まっている。

年金と同じく、これから定年を迎える公務員の人たちは、この掛金を払うか払わないか難しい選択を迫られるだろう。自分が駆け回って汗をかいて努力して先輩方を無事天下り先に届けた所で、情報が暴露され法律が厳しく改訂され、自分の行き先が無くなる。民間は義理でなくて利益で動いていたわけだから、入札を操作できなければ、約束はホゴにされる。ほんの何年か上のその先輩は天国で、自分は逮捕され誰も救ってくれなくて地獄だ。そういう馬鹿を見る世代がきっと出てくる。

ひょっとしたら、目端が利く人は逃げ出しているのかもしれない。これも年金と同じく、いったん信頼を失なった天下りシステムはあっけなく崩壊する。逃げるならば掛金を払う前に早く逃げなくてはならなくて、逃げ遅れた奴が一番損をする。そういう流れが始まったら全員が競争で逃げ出すので、崩壊は加速する。

もちろん、内部にいる人から見たら磐石に思えるのだろうが、それは成員の期待に依存している。関係者が全員、磐石と思えば磐石だが、危ういと思う人が出始めると状況は違ってくる。つまり、市場のバブルと同じで、みんなが土地はまだまだ上がると思っていれば、土地は買う価値があり買って大儲けできる。期待がなくなると、我先に売りはじめるのでバブルが崩壊する。

だから、ここに書いたようなことを広くアナウンスして、天下り関係者の「期待」を操作すれば、天下りシステムの崩壊を早めることもできるだろう(90年代初頭の金融政策と同じ?)。