人を殺すな!言葉を殺すな!

(まだ、定期的に更新できる状況ではないですが、スキを見て少しは書けるようになったので、これだけは書いておきたいものというものを書きます。コメント等への反応はたぶんできないと思います)

北オセチア共和国の学校占領事件で、テロとはメッセージであることを痛感した。あの事件がどういう結末となっても、ロシア軍の戦力に大きな損害を与えることはないし、チェチェンに対する作戦行動に軍事的な意味で制約を与えることもない。むしろ、ブッシュのより強力な支持とフリーハンドをプーチンに与えたようなものだ。

しかし、多くの非難と引き換えに、彼らは注目を集めた。それが彼らの目的であり、彼らはそれを達成したのだ。

事前に武器を運びこんでいたという報道があって、今回のテロは周到な準備の元で実行されたようだ。だとしたら、多数の子供を含む1000人以上の人質をかかえ、水も与えないという事態も、想定の範疇だったに違いない。人質の人数を減らさないままそれを継続すれば、暴発的な銃撃戦も起こりやすいし、ロシアの強行突入にも口実を与えることになる。劇場占拠事件のことも考えれば、今回のような結末は当然予想できるが、テロリストの側にそれを避けようとした気配がない。

ということは、この悲劇的な結果が当初からの目的であった、少なくともいくつかある中の主要な目的であったことは間違いないだろう。

ナイーブな発想かもしれないけど、メッセージを発信したいのなら、別の手段で発信させた方がいいと思う。

今回の作戦には、夫を殺された未亡人が多く参加していたと言う。彼女らにとっては、これだけたくさんの子供が死ぬことも、自分たちが経験した悲劇には釣り合わなかったのだろう。

つまり、彼らは、次のものを持っている。

  • これを上回る悲劇(少なくとも彼ら自身の目からは)というコンテンツ
  • 多数の武器弾薬を準備できるだけの資金
  • 命と引きかえにその作戦にコミットする人たち

コンテンツと資金と兵隊があれば、WEBサイトを作ることができる。これをWEBに投入したら、それなりの注目を集めることはできるだろう。もちろん、今回の事件ほどの注目は集らないだろうが、プーチンやブッシュにとっては、むしろその方が嫌なことに違いない。

同じメッセージを発信するなら、人が死なない方がいい。子供が死なない方がいい。

我々はたくさんの人が死ぬ前に、そこにリンクすべきだったのではないだろうか。

そして、これは「対テロ戦争」とブッシュが呼ぶものと両立する。テロリストから武器を奪い、WEBサイトを与えることは可能だ。彼らに言いたいことを言わせ、それが間違っているなら反論すればいい。それとは関係なく、治安を強化してセキュリティを高めることは可能だし必要かもしれない。それはそれで徹底的にやって、その代わりに彼らに情報発信の機会を与える。WEBスペースとライターと翻訳者をたくさん用意する。CNNやGoogleのトップページから直リンさせる。

これが、最もまともで最も現実的な対策だ。

そして、おそらくこれを嫌う人がいる。情報発信されたら反論できなくて困ってしまう人がいる。言葉を殺す為には人が死んでもかまわないと言う奴らがいる。そういう連中が本当の人類の敵なのだ。だから、簡単にはそんなWEBサイトは作れないけど、P2Pを使えば可能だ。その本当の敵を破壊する為に、非可逆的な情報発信のツールであるP2Pを使うべきだ。

P2Pには多くの問題があるけど、ブッシュとプーチンとテロリストをまとめて退治できれば、それに見合うのではないかと思う。確かにP2Pは取りかえしがつかなく言葉を世界にぶちまけるけど、核拡散より言葉や写真が拡散することが恐いなんて、まともじゃないよ。

そして、我々の側からできることは、テロが起こる前に、世界に目を向けることではないだろうか。あたりかまわずリンクして、自分の目線で適当なことを言っていればいい。テロで死にたくたくなければ、テロリストや潜在的なテロリストの言葉や、将来テロを生みそうな悲劇をどんどん取りあげよう。そこでまず、スーダン・ダルフール危機情報へリンク。