ストレートに「好きです」と言うしかない

今からふりかえると、フランスの唐突とも思えるような米英支持表明は、戦局の決定的な傾きの直前だった。あの国がいかに冷静に状況をにらんで国益を計算して動いていたのかがわかる。また、どういう仕組みなのかはわからないが、機能する情報ソースと分析力を持っていたこともよくわかる。

また、今日のサンプロをちらっと見たが、クルド人は「独立」という言葉を出すとつぶされるから絶対にそう言わないで「自治」と言うそうだ。また、アメリカの裏切りで何度も同胞が殺されているのに気持ちをおさえて、今回アメリカと行動をともにしている。ここで復讐心を表に出してしまったら、自分たちの国が遠のいてしまうからだ。血のにじむような悲しい自制心だと思う。

外交とは実に厳しい残酷なものだ。

わが国は、戦後、こういう意味での本物の外交を一切しないですませてきた。だから、こういう時にどうしたらいいのかリアリティを持って考えることはとてもできない。そこで、これを恋愛に例えてみる。ストレートに自分の気持ちを言えばいいものではなく、かと言ってただの騙し合いでもなく、ゲームのようなものに見えて時に命にかかわる問題であることが似てるから。損得計算も必要だが損得計算だけで終わるものでもないし。

わが国は全く恋愛経験のないナイーブな中学生のようなもので、クルド人のような深い人生経験もなければ、フランスのような百選錬磨の大人でもない。真似するなんて絶対無理だ。中学生が初めての恋愛ですべきことは、駆け引きも何もなくストレートに「好きです」と言うことだ。そこからスタートするしかない。だから、小泉首相の支持表明の仕方は100%正解だったのではないかと思う。