47氏宅を家宅捜索

まだ詳しい状況はわからないのですが、Winnyの作者の47氏が家宅捜索を受けたそうです。目的はズバリ、Winnyソースコードじゃないでしょうか。別件でも違法でも、何でもいいからとにかくソースを入手すればよかったのだと思います。それを解析できるのか?合法的に今後の捜査に使えるのか?すごい手ががありますね。

入手したソースを匿名で公開してしまうんです。どうやって?もちろんWinnyで。

そうすればWinnyの暗号化プロトコルは(誰かが解析して)公知の事実になって、合法的に暗号を復号化して捜査できる。この方法ならば、後になって今回の捜索に法的、手続き的な問題点が見つかっても問題ありません。極端に言えば、警察に今回の捜査で入手した資料を一切破棄する命令が出たってかまわないわけです。

「隠すことによるセキュリティ」がいかにあてにならないかの事例がもうひとつ増えました。

この推理があたっているかどうかはわかりませんが、ソフトを作っただけで逮捕っていうのは、かなり無理があると思います。無理をせざるを得なかったことで、P2Pがいかに彼らを悩ませたかよくわかりますね。しかし、これは最終的には失敗に終わるでしょう。

47氏が「隠すことによるセキュリティ」を選択したのは、外部から通信内容を覗かれるリスクより、内部からイタズラ者が出て、相互信頼に基づくWinnyのネットワークが崩壊することを恐れたからです。匿名性が災いして、ニセWinnyを使うイタズラ者がいた時に排除できない。いや、たぶん排除できなくはないけど、そういうプロトコルにするとユーザに負担がかかるのだと思います。

要するに、Winnyよりもうちょっと面倒なことを我慢すれば、逮捕されないP2Pはできると思います。ただ、Winnyより先にそれを作っても誰も使わなかったでしょう。でも、これからは「Winnyよりちょっと不便だけどはるかに安全なソフト」が出ればみんな飛びつく。そういう下地を作った47氏の功績は大きいと思います。

その「不便さ」とは、具体的に言えば「公開鍵の扱い」です。これは全くの勘で言うのですが、公開鍵暗号をフルに使えば完全匿名P2Pは可能だと思います。再び開発者が逮捕されても、公開鍵(認証局?)を差しかえればそのまま使えるでしょう。みんな、今のうちに結城さんの本を読んで勉強しておきましょう。私も、もう一度復習してからアリスのストーリーを直します。

もちろん、違法なことをするためではありません。不当なことを不当と言うためには、そういう知識が必要になる時代が近づいているのです。「圧倒的な非対称」を中和させてテロを防ぐには、社会がPKIを正しく運用することがどうしても必要だと思います。