[?date=20020701#c02:title=名無しさん(仮)への回答]

匿名掲示板は日本の社会システムを壊すと思いますが、他の手段よりましな壊し方をすると思います。

牛肉偽装事件を例にとってみましょう。第三者としてあの事件を見れば「国民の税金を不法に使うとんでもない事件」ですが、もし、あなたが自分の会社があのような不正を目にしている所を目にしたらどうしますか?バックレるかチクるか、どちらにせよ、あなたは相当迷うでしょう。なぜ迷うかと言うと、一方で会社が公的な存在であり、一方で自分の家族のような私的な存在、「居場所」だからです。

このような不正が起きないようにするためには、監視の目を強化する外的な対策も必要ですが、会社が「居場所」でありアイデンティティの基礎であるという風土のようなものを変える必要があると思います。これは組織の問題でなく気持ちの問題ですから、変えるのは大変なことです。時間もかかるし、副作用も大きい、定年で会社という「居場所」を失なった人が心のバランスを崩すという話をよく聞きますが、全てのサラリーマンがこのようなショックに耐えなくてはなりません。

しかし、匿名による内部告発が可能であれば、組織の中では「一家の一員」としてふるまって居場所を確保したまま、チクリによる外的な圧力で会社を正しい方向に導くことが可能です。「日本人は社畜であって会社主義でモラルがない」などと言いますが、このレベルの正義感なら多くの人が持ちあわせていると思います。これを活用することで、少ないコストと期間で日本の社会システム全体のウミを出して体質を変えることが可能だと思います。

チクリや不法行為は極端な例ですが、もう少しマイルドな例をあげると、「日中外交はどうあるべきか」というテーマを外務省の内部の人が実名で議論することは難しいと思います。それが派閥(=居場所)に直結しているからです。しかし、この問題について最も多くの情報を持っていて、おそらく正しい理念を持っているのは外務省の官僚です。この人たちに(野次馬の監視のもとで)匿名で本音の議論をさせることが、適切な政策を導きだす最も有効な手段です。