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俺は、片付けということが異常に苦手である。「異常に」という言葉を気軽に使う奴が多いが、俺は正しい日本語を使う人間なので、俺が「異常に」という時は本当に異常なのである。一番の問題は会社の机だ。なにしろ、役職がついて机がでかくなった時に最初に「ああ、この机は引出しが多い。ゴミがよけいたまってしまう」と思ったくらいだ。そんな俺にとっては、机がきれいになる機会は引越しの時だけである。

俺がそういう人間だらそう思うのかもしれないが、政権交代はたまにあったほうがいい。ブッシュが大統領になって、ホワイトハウスでは3000人のスタッフが入れかわるそうだが、 3000人もいれば一人くらい俺みたいな奴がいて、「ああ、これで机がきれいになる」とホットしていることだろう。

あのゴタゴタをアメリカの欠陥みたいに言う奴が多いが、そもそも民主党共和党の勢力が伯仲してなければあんなことは起こらない。常に政権交代が起こり得るということは非常にいいことだ。昔は、そんなものなかったから信長は3000人の坊主を焼くはめになったが、ブッシュは同じ3000人でもホワイトハウスから追い出すだけでいいのだ。

だいたいフロリダで300万人の有権者がいて、500票とか300票しか差がつかないってのはどういうわけだ。そんなことが起こる確率ってどれくらいなんだ。 1万人が投票して1票差もなくちょうど5000対5000になる確率と同じなのかな。コンピュータ技術者の端くれのくせに、そんなこともちゃんと計算できないのが悲しいが、ちょっとやそっとで起こることではないだろう。一種の天災みたいなものでそれが、1〜2ヶ月で騒ぎがおさまっただけよくやったと言えるだろう。

まあ、ここでゴアが素直に引きさがるのも、4年後に次のチャンスが充分あるからだ。ゴアにはなくても民主党には充分可能性がある。自民党は、次にコケたら永遠に政権に復帰できないと思ってるから、どんな手を使っても政権に残ろうとする。焼いてしまうしかない所まで行かなきゃいいけどね。

それとあの変な投票用紙の件だけど、あれは地方自治が機能している証拠。日本だったら自治省が口を出して、規格化してしまう。投票用紙にしろ集計方法にしろ、上の人がちゃんとしたものにしてしまう。誰が見ても恥ずかしいようなことにはならんからいいのかと思うが、そういうやり方が結局は機能しないってことは、ソ連と日本を見てるとよくわかるよね。

手作業の集計の様子を見てると、本当にアメリカ人って不器用で馬鹿だと思うが、それでも州の責任で州のやり方でやる。そういう仕組みになってるのもタマタマのことで、連中が賢いからでは決してないのだが、運のいいことにむこうには機能する政治ができてて、こっちにはそれがないんだよなあ。