21世紀の足し算

コンピューターは馬鹿である。コンピューターのプロを自称したければ、コンピュータが馬鹿であることを知らなくてはいけない。頭で知ってるだけではだめだ。骨身にしみてこいつが馬鹿であることを知ってはじめてプロを名乗る資格がある。

どのくらい馬鹿かと言うと、基本的にこいつは足し算と引き算しかできないと思っていた方がいい。スコールのHPだろうが日本の借金の総額だろうが世界の総人口だろうが足すことと引くことはうまくやる。だがそれだけだ。他の仕事ができるように見えるのは錯覚であって、たいていそのうちボロを出す。コンピュータに足し算と引き算以外のこと期待してはいけない。

しかし、足し算でハッピーになることって結構たくさんあるのだ。例えば全ての家電に5分後に消費する電力量を予測させる。これは足し算ではないので、あまりあてにはならない。しかし、電気炊飯器ならば前日の稼働実績をそのまま送る。ビデオは録画予約の情報からいつONになるかわかる。その他は、一日の稼働時間を累計してフラットに期待値にしてしまってもいい。多少いいかげんでもいいからとにかく5分後の予測というか予定を提出させて、日本中全部足す。これで5分後の電気代を決めるようにしたらどうだろう。電気代の計算がずいぶん大変になるだろうが、これは足し算なのでコンピュータにまかせて大丈夫。

そして冷蔵庫とかあったまってからのコタツのように稼働時間をずらせるものは、電気代の安い時間に電気を使うようにする。 5分後の電気代(単価)がいくら以上だったら10分待つとか、単純なロジックでいい。これをするだけでピークの電力は随分下がるだろう。ピークに対応するために発電所が増えたりするから、これをすれば原発の1個や2個止められるだろう。

冷蔵庫の中の牛乳の数を足してみれば、正確な需要予測ができて腐った牛乳を再利用する必要もなくなる。オリコンのチャートは販売された数でなくて、実際にCDプレーヤーの上にのっかって本当に聞かれた数で判定される。小説家は、自分の本が何ページまでめくられているかわかり、ストーリーの中でどこがうけているかよくわかるようになる。

人工知能なんかは絶対できないが、これからいろんなものが足し算できるようになるから、21世紀はいろいろ面白くなるぞ。