ぬるい

Japan Mail Mediaは基本的には経済のメールマガジンである。学者からみたら通俗的なのかもしれないが、頭の痛くなるような難しい話が毎週ぎっしりつまっている。しかし、*村上龍*が編集長だけあって、たまにこんな面白い文章が出てくる。痴漢が多いのは日本だけ、欧米ではそういう奴はレイプに走るという話をして

そりゃ言うまでもなくレイプは絶対的な悪です。でも痴漢は「覚悟」がないのよね。痴漢は「ぬるい」でしょ?

この「ぬるい」日本人を痛烈に批判しています。視点も表現も鋭いと思いますが、これを書いている人の素性を知るともっと驚きます。

で、話は変わってまた新聞ネタ。来年から、遺伝子組換技術を使った食品は原料にそれを明示しなくてはいけなくなったそうだ。そんなこと書かされたら売れっこないので、それを使ってない原料を求めて東奔西走とか、それを試験するサービスがおおはやりというニュースがあった。

このドタバタぶりを見ていると、我がコンピュータ業界を思い出してしまう。本質論や腰をすえた基礎研究がほったらかしで、目先の技術で右往左往している。このままいくと、バイオテクノロジーの業界にもWindows95みたいなごちゃごちゃの変な技術が生まれてくるのではないか。

Windows95を私は技術的に評価する。仮想的にDOSBIOSを扱う所には独自の凄い技術が入っていると思う。だけどそれと同じくらい、政治や打算や陰謀から生まれた妥協やナンセンス、コントロール不足による混乱もぎっしりつまっている。誰ひとりとして理解できない、化け物のような変態OSである。あれよりマシなOSを作れるヤツはいくらでもいるし、実際にたくさんある。マイクロソフトだってNTというずっとマシなOSを作っている。だけど、あれより売れるOSを作れたヤツはいない。マイクロソフトもNTを98の後継OSにしようという計画は失敗しかけている。

でも、パソコンではこの制御できない変態がOSが悪さをしても、青画面に毒づいて再起動すればよい。バイオテクノロジーの世界で、こういう制御できない変なウイルス(だけど当座の問題だけはよく解決する)かなんか出て来て、それが売れまくったらどうなるだろう。バイオのことは何も知らないけど、こういう世界で「青画面」出したらとんでもないことにならないのだろうか?技術の進歩が早いこと、そういう技術がいちいち金になること、いろいろな会社がうごめいて一攫千金を狙っている様子など見ていると、パソコンとすごく似た状況になってきているような気がする。