プログラミングと臨床心理学は妙に似ている
私が多少なりとも体系的に勉強しているのは、プログラミングと臨床心理学だ(後者は体系的ではあるけどほんの少しだけだし、前者も実はアヤしい所がたくさんあるが)。この二つには妙に似ている所がある。
- 合意された業界地図がない
- 再現可能性と実効性の間で引き裂かれている
- ノウハウがデザパタ的、フレームワーク的
- 達人はどの言語(技法)を使っても同じ
- 仕事の本質はモデルを作ることではないか
- 誇大妄想的に「自分のやり方で全て解決できる」という馬鹿が定期的に出てくる
合意された業界地図がない
どちらも、業界地図の書き方が、人によって違うんですね。
→ アンカテ(Uncategorizable Blog) - ソフトウエア業界の「バカ世界地図」
臨床心理学もこういう雰囲気があって、業界地図の書き方や対立軸の選び方でその人がどこに所属する人かだいたい読める。
再現可能性と実効性の間で引き裂かれている
教育してある程度のレベルにすることはだいたいできて、一応産業として成り立っているが、何年たっても「誰がやっても一定の手順で間違いなく目的を達成できる」という状態になかなかならない。何でできないのかなかなか説明できない。
範囲を狭く絞ってから定式化すると再現可能性が出て来るが、そういう方向に走るとだいたいあまり役に立たなくなる。
また、天才が再現可能性も実効性も関係なく暴走している領域があって、これは鑑賞していて面白いが、下手に真似するとやけどする。
ノウハウがデザパタ的、フレームワーク的
専門家同士のコミュニケーションで専門知識が役に立つ。だから、専門知識の存在価値は大きい。
しかし、それを素人にうまく説明することができないので、専門知識の意味について外部からは疑いの目で見られる。
達人はどの言語(技法)を使っても同じ
ソースは忘れましたが、各派から心理療法の達人を一人づつ選んで、その仕事をビデオにとって分析したら、かなり似ていたという話を聞いたことがあります。
そういうレベルに達すると、言語(理論)の違いは消失する。しかし、中レベル以下は、言語や技法や理論の善し悪しについて侃々諤々の議論をする。適材適所で使いわけることも重要だけど、凡人はベースとなる言語(理論)を持っていた方がいいことも事実。
仕事の本質はモデルを作ることではないか
業務システム開発とは、その企業(組織)の活動をモデル化することで、カウンセリングはクライアントの人格をモデル化すること。どちらも、客にとって納得できるモデルでないと意味がない。また、旧システムと環境の齟齬を解決することが重要。適切なモデルが無いと、自己を適切にモニタリングすることができず不適応を起こす。よいモデルは、適切なフィードバックを与え、適応と進化に役に立つ。
モデルの包括性や完全性は意味がなくて、環境と対象の関連によって適切なモデルは常に違う。そこを見ぬく力が、専門家の技能の本質である。
専門家が一方的にモデルを作ることはできない。クライアントの関与と対話が必須である。
クライアントは自分が思うほど自分のことを知らないと専門家は思っている。
誇大妄想的に「自分のやり方で全て解決できる」という奴が定期的に出てくる
なんかたまにおかしなことを言い出す人がいるんですよね。