Linuxの本当の財産

月刊アスキー4月号のLINUX特集は面白かった。今年になってから、どの雑誌もLINUX特集をやっているけど、どれも横並びでCD-ROMの付録に入れたLINUXをインストールして、コマンドをちょっと解説しておしまいで、踏み込みがない。それに比べアスキーの特集は、ちょっと違う切り口だ。まあ、いろんなライターにちょっとずつしゃべらせただけなのだけど、ライターの人選がいいのでみんなそれぞれ独自の切り口で鋭いことを言っている。特に、LINUXに詳しくてLINUXを冷静に見ている人を集めている。

一番よかったのが、砂原秀樹という人の意見で、私は昔この人が書いたUNIXの参考書のお世話になっていると思うが、とにかくUNIXとOSの専門家。そして、そういう年期の入った人から見ると、LINUXカーネルなんてのは「10年早い」という段階らしい。メモリ管理とスケジューラが未完成だと言っている。BSDびいきのあまり近親憎悪か?と思うとそうではなくて、今後問題点は解決していくだろうと述べ、そのための前提条件や戦略を書いている。そして結論は「そこで重要なのが、Linuxを鍵に集まったネットワークの人々です。これだけの力があれば、本当に自分たちに必要なOSを作り上げるのは簡単でしょう」。何だレイモンドと同じことを言っている(オハスタのレイモンドじゃないよ)

つまり「Linuxの本当の財産はカーネルのソースではなくて、ネットワークで集まったコミュニティだ」ということ。このコミュニティさえあれば、OSを一から作り直すのも簡単だ、という主張で、これは私も全く同感です。エリック・レイモンドは「Linusの最大の発明は、Linuxカーネルでなく開発モデルだ」と言ってたが、砂原さんのように技術的に確かな見識があってコミュニティの外にいる人が同じことを言うとは、ちょっと驚いた。