利益率が高いのは優良会社じゃなくてもはや危険信号!?

「地図の仕事をしている所はいい商売をしている」

と、昔々、噂話×雑談×又聞きで聞いたことがある。

当時のハード性能では、地図を表示する為には、端末1台に何千万とかかるので、それだけ投資してもそういう業務をIT化したいというのは特殊な会社で、だから、市場は小さいけど、特殊な技術だから競争がほとんどない。

だから、同じ業務ソフトの受託開発で、普通の会社が1000万円で開発して1200万円で受注するような仕事を、特殊技能を持ったソフトハウスは1000万円で開発して2000万円で売ることができる。ということは、業務全般に余裕があって、納期は守るし品質は高いし教育は行き届いているし、いろんな面から見て「いい会社」だったわけだ。

一般常識として利幅、利益率が高い会社は「いい会社」である。同じものをよそより高く売れること自体が、その会社が何か特殊な強みを持っていることを示しているし、高く売れることが結果として、会社の体質にいい方向に作用する。

しかし、これからは一般的に利益率が高い会社ほど危ない。なぜなら、利幅が高いとGoogle様がやってくるからだ。

地図がいい例で、昔々、噂話×雑談×又聞きで聞いた話では、はてなマップのようなシステム、つまり、業務のデータベースを位置情報と連動させて、地図上に何かを表示するようなシステムで、そういう利幅の高い会社は稼いでいた。

私が聞いた話は、カーナビ以前のことだから、Googleマップ以前に状況は大きく変化していたかもしれないが、はてなマップを一週間で作られては、そういう会社の商売は、根本から成り立たなくなる。あれを一週間で作る会社はそうたくさんないが、三ヶ月で作る会社ならたくさんあるだろう。利幅の薄い商売でやってる会社の中にもたくさんあるだろう。

おそらく、そういう優良な会社は、利幅の薄くてもなんとかやってる会社に太刀打ちできない。

では、Google様が彼らの市場にやってきたのは、たまたま運が悪かったからかと言うと、そうではなくて、Google様は利幅の高い所を狙ってやってくる。そういう所には、何か大きな空白があって、それを埋めることから、Google様の商売は始まるからだ。

次にGoogle様が何をやるか予想するには、そういう空白を見つければいいわけで、その為の一番簡単な指標は、「利幅の高さ」である。「利幅の高さ」を成立させているだけの、特殊な技術やノウハウや組織や人脈があると、Google様はそれにドクターの大群と世界最大規模のサーバファームをぶつけて、その空白を埋める。たいていの場合、何か出来たものをタダでばらまく。それに、Yahoo様やMS様もついてきて怪獣大戦争をやるので、東京タワーや国会議事堂のセットのように、既存の会社は押しつぶされる。

逆にワタクシの勤める会社のように、利幅の薄い商売で細々と生きながらえているような所には、Google様は見むきもしない。そういう所には、時価総額ウン兆円を食わせるだけの市場は無いからだ。

もちろん、怪獣大戦争によって、新たに発生する仕事もある。地図データを売っている会社は儲けただろうが、従来の利幅の高い商売と違って、怪獣の数しか地図データは売れない。利幅の高かった地図関連ソフト関連の会社の中で、ごく少数の会社だけが儲けて、あとは淘汰されてしまうだろう。

ということで、利益率の高さは、もはや危険信号なのではないだろうか?