見せプログラミング
見せブラならぬ「見せプログラミング」の時代だなあと思うわけです。
もし、「アマゾンのようなシステムを作れ」と言われたら、私はまず、バックオフィスの業務を分析します。我々が目にすることができるアマゾンのページはたいした量ではなくて、スケーラビリティを考えなければ単純なシステムです。でも、おそらく、アマゾンのシステムのキモは、配送や在庫管理等の、バックオフィスにあります。見えている所だけを考えてたら、「アマゾンのようなシステム」の見積りはできません。
しかし、「はてなのようなシステムを作れ」と言われたら、ほとんど工数を即答するでしょう。見えている所がはてなの全てであって、例えば、はてなブックマークなんかは、画面を見ていれば、データベースの構造もだいたい想像がつきます。はてなにバックオフィスはありません。
しかも、毎日のようにnaoyaさんが内幕を暴露していて、どういうツールを使って、どういうふうに作っているか、全部まるみえです。
そういう意味で、システムがとことん露出している珍しい会社だと思います。
もちろん、何事も実際にやってみたら、外からはわからない苦労があるのだとは思いますが、「見せプログラミング」であることが、はてなという企業の価値の重要なポイントではないでしょうか。naoyaさんが自社のシステムについて、ブログで書くことをやめたら、はてなの企業価値は下がると思います。
「はてなのようなシステムを作れ」という仕事なら、私はできる自信がありますが、「はてなのような会社を作れ」と言われたら、ちょっと尻込みしてしまいます。システムを作ることも、ブログを書くことも、そこそこの経験はあるのですが、両者が相乗効果を産むように「見せプログラミング」をうまくやる自信がありません。
私にとってはプログラミングは隠すもので、外からユーザにそれが見えないほどよい仕事だという感性が、簡単には抜けないと思います。
そういうわけで、見せブラならぬ「見せプログラミング」の時代だなあと思うわけです。