思考実験:「essaを強制的殉教者にしない方法は?」

ある日、essaは次のようなメールを受け取りました。


essaさん。君のWinny事件に関する一連の記事を読ませてもらった。素晴しい文章だと思う。だが、君の考えはまだなまぬるい。これは法律の枠内で解決できる問題じゃない。我々は君を説得して君の考えを変えようとはしない。君の意思に関係なく、君には我々のスポークスマンになってもらうことに決定した。


我々はこれから、君の開発したソフトを使って「ちょっとしたアピール」を行なう。当局はそれを非合法活動とみなすだろう。君は、それを「幇助」したことになる。我々は君の開発したソフトの中に「摘発されにくくし捜査を免れる」機能を発見した。我々はそれを活用して非合法なサイトを運営するつもりだ。


君はそれを「デバッグ用機能」と呼ぶかもしれない。確かに、それは普通の状態では使えない機能だ。だが、それは実装されており、我々はそれを自分たちの目的のために有効に活用できることを確認した。我々はその詳細を犯行終了後に某掲示板に発表する。


君はすでに何度も「著作権法への挑発的態度」を示している。君はこのブログとソフトウエア開発という一連の行為全体をとらえて逮捕されるだろう。その結果、見たこと考えたことをぜひ君の素晴しい文章として発表してくれ。検討を祈る。

essaは、これを読んでガクガクブルブル。

「ななな、なんだこれは。ちょちょちょっと待ってくれよ。これはただの人気取りなんだ。俺はちょっと面白いことを書いて、このブログを有名にしたかっただけなんだ。そんなことに巻き込まれたくないよ。誰かなんとかしてくれ〜〜〜!」

さて問題です。

  1. この革命家たちの意図は実現されるのか?つまりessaは逮捕されるのか?
  2. essaはこれから何をすればソフトウエア開発を継続できるのか?

前提条件としては、

  • 問題のソフトウエアの内容や「デバッグ用機能」の内容は特に設定しない。回答者が自由に設定してよい。ただし、「革命家」たちは、これを「摘発されにくくし捜査を免れる」為に使用できるものとする
  • 専門家にこれを見せると「わざとだ」「偶然だ」がちょうど半々になる。
  • essaは究極のヘタレなので、自分の安全の為にはどんな情けないことでも言う
  • essaはソフトウエア開発とブログ書き以外には違法行為をしてない(ソフトウエア開発とブログ書きが違法行為たり得るとして)

デバッグ用裏口」を残してリリースっていうのは、うっかりと意図的なものと両方ともよくある話です。「摘発されにくくし捜査を免れる」ような「デバッグ機能」というのは、ちょっと考えにくいですが、例えば、残らなきゃいけないログを残さないで動作するようになっているとか、特権モードで自分のアドレスを偽るとかです。あるいは、(少し専門的になりますが)専用ドライバがついていてその裏口からカーネル乗っ取りとか。よく考えると、通信ソフトならどれもありそうな話ですね。

「わざとだ」「偶然だ」が半々というのも、その手のソフトを見なれた人の場合はなさそうだけど、あまり通信に詳しくない「専門家」だったりすると、「なんでそんな大げさなデバッグ機能が必要なんだ?」とか思うかもしれない。

で、もうひとつ大きな問題があって

 これは本当に思考実験だけの話ですか?
私、本当にソフト開発してるんですけど
しかも、あまり知られてない「通信するソフト」も
いくつか開発してるんですけど ガクガクブルブル

「革命家」でもストーカーでも何でもいいんですが、本気で私に悪意を持つ人が、法律知識を駆使してそういう陰謀を考えたら、私はよほどよく考えて応対しないと危いんじゃないか。

なお、私はこの問題の答を求めようというつもりはないので、回答をいただいても採点したり紹介したりはしません。そもそも自分でもよくわらないし。

それと、これも念の為ちゃんと書いておこう。以下が私の考えです。

私は、悪法も法であり守るべきだと思っています。私の提案する内容は、民主的に正規の立法手続きを経て法律として実現されることを願っていますが、それが法案として施行されるまでは、現行の法律の枠内で行動すべきだと思います。もし、ここに書いたことと矛盾するように読める記述があったとしても、それは表現上の誇張であり、ここに書いたことが優先であると理解してください。また、これを読んでいる全ての人にも、この点について私と同じ考えで行動されることを願います。