陰謀論の形式的定義

自衛隊イラク派遣は間違いだ」

私がこう言えば、小泉さんは反論する。

福田官房長官は年金未納期間がある」

しかし、私がこう言ったら小泉さんは反論できません。

反論によって打ち消せる主張と打ち消せない主張があります。ひっこめられる言葉とひっこめられない言葉があります。

そこで、陰謀論を以下のように定義してみます。

 陰謀論とは、
「いったん暴露されたら取り消せない秘密が、
暴力的な手段によって隠蔽されている」
という主張を含む言説である。

言論によって反論できない秘密だから、暴力的に隠蔽するしかないんです。

だから、「言説を非可逆的に取り消せない状態にする装置」つまりP2Pがあれば、

 全ての陰謀論は間違いである
なぜなら、暴力的な手段による隠蔽そのものが、
P2Pによって、我々の目前に出現するはずである
秘密がP2Pに出てこない以上
そのような隠蔽はあり得ない

とか言って、原理的にこれを否定できるような気がする。

自衛隊イラク派遣は間違いだ」とP2Pでいくら流したって、小泉さんは困らない。「反論によって打ち消せる主張」の状況は、本質的にはP2Pでは変わらないんです。P2Pによって変わるのは「反論によって打ち消せない主張」を巡る状況です。

「年金未納兄弟」がいっぺんに出てきたら、最初は困るし混乱も大きいですが、一巡した後は、もうそういうものが存在しないとみなして、「反論によって打ち消せる主張」だけを相手にしていればよくなる。

P2Pの効用は非常に大きいと思います。