21世紀の精神異常者

はじめてこの曲を聞いた時、ここで歌われてような男にはなりたくないと思った。幸いなことにそこは21世紀ではないし、僕はまだ精神異常者ではなかった。そこには二つの障壁があって、どちらも遠い遠いことのように思えた。

何十年かたって、またこの曲を聞いた時に、恐しいことに、僕はいつのまにか21世紀を生きていた。はるかかなたに思えた障壁を少なくともひとつは突破していたのだ。

おまけに僕は、テレビや新聞がたびたびおかしなことを言うと考えている。世の中でまともなことを言うのは自分だけだ、他の奴らは皆狂ってるという、典型的な妄想の中で生きている。