アメリカが失うもの

週刊アカシックレコードでは、大量破壊兵器はもう見つけてある(デッチアゲの準備ができている)が、一番いいタイミングで「発見」されるように保留しているという説をとなえている。確かに今のまま行けば、来年の大統領選挙で民主党やマスコミはこの問題に焦点をあてて攻撃してくるはずだ。その反戦キャンペーンがもりあがった所で、「やっぱりありました」と言えば、相手は攻撃する足がかりを失なってしまい一発逆転である。

そこで、北朝鮮相手に攻撃するか大幅な譲歩を引き出して得点を取れば、ブッシュにとって非常に有利な状況になる。

こういうゲームでは、相手に手を読ませないことが重要である。だから、北朝鮮に開戦準備が本気なのかブラフなのか読ませないように、とりあえず本気で準備する必要がある。政府内部に両方の勢力があるのだから、両方にそれぞれゴーをかければよいだろう。日本を取りまく不可思議な事象のうちいくつかは、その反映なのかもしれない。準備だけ着々と進めていけば相手側にはどちらを狙っているか非常に読みにくく、ブッシュの方は最終的な選択を最後まで引きのばせる。

もうひとつの敵、民主党には、あえて大量破壊兵器の発見を遅らせることで、取り得る選択肢を限定するのだ。そうすれば相手の手が読みやすく、秘密の準備があるなら逆転のストーリーも好きなように書ける。選挙戦に最も有利になるようにタイミングを計って、「WMDハケーン→北朝鮮アボーン」を仕掛ける。相手の自由度を限定し自分の選択肢を確保する。戦略としては完璧であるが、言うまでもなくこれはかなり狡い手であり、副作用も大きい。

そもそも、なんでドンパチが始まるとアメリカ人は馬鹿みたいに大統領支持になるのか。マッチョな低能が多いというのも事実だろうが、一方で「国の一大事だからリーダの元で団結するべきだ」という共同体意識が強いことも大きい。ブッシュの戦略は、戦争と選挙をかなり緻密に計画してリンクさせることで、この共同体意識を自己の利益のために悪用するものだ。

もしこの悪だくみが成功したとしても、ブッシュの二期目は、レイムダックに加えて、このようなワルぶりを国民がなんとなく感じとって(あるいはバクロされて)、非常にシラけたものになると思う。この一連の戦略がアメリカ国民の規範意識や共同体の意識に対する大量破壊兵器となり、いくらか残っているアメリカの健全な部分を完璧に駄目にしてしまうだろう。そこで起こる混乱は、単なる政治的なレベルでは終わらず、国民の無意識のレベルに深い動揺を引き起こすに違いない。

構成員の共同体への帰属意識をリーダーが悪用すると何が起こるか、今の日本を見てもう一度考えなおせと俺は言いたい。