「情報共有」と「コントロール」の複眼思考
湯川鶴章のIT潮流 powered by ココログ: あなたが知らないGoogleの10の事実=やはりTwitterを買収しようとしていたという記事に驚くべきことが書かれていた。
(4)Page氏とBrin氏ともに秘書がいない
これだけ大きな会社になったのに、それでも秘書を置かないらしい。でもそれがかえってよくて、「この程度のことでトップをわずらわしてはいけない」という思いが従業員に働いて、自分たちでコントロールするようになるんだという。それにGoogle Calenderを使えば、特に秘書はいらないらしい。まあそうかもね。
なぜGoogleのような大きな会社のトップがGoogle Calendarのようなシンプルなソフトで業務に支障が出ないのかと言うと、それは、Googleがネットの中から生まれた会社だからだろう。
おそらく、トップのスケジュール管理以外にも、Googleが同じ規模の会社よりずっとシンプルなコンピュータシステムを使って>いる業務はたくさんあると思う。
このことを非常に短い言葉で表現した名言がある。
アウトプットは量多い方がいい。フィルタは各自がやればいい。この原則わかんない奴はインターネット合わないと思う。
本来のネットのやり方は、全ての情報を全員で共有することだ。隠しごと無く全員で共有することで、自然とルールやマナーが生まれていく。Wikipediaもtwitterもそうだ。Wikipediaもtwitterでうまくいっている方法を会社の中で自然に行なっているのがGoogleなのだと思う。
GoogleもFacebookもtwitterもSkypeも、ネットの会社はユーザ数と比較して非常に少ない社員で業務を運営している。少ない人数で足りるのは、情報を共有し各自が自分で判断し主体的に行動するからだろう。
社会は、これまでこれと逆の原則で動いていた。つまり、情報は独占すべきで流す方がフィルタリングする。その情報の流れが権力の構造を作り出す。この原則がなんとなく体でわかんない奴は社会不適合だった。
オバマは、ネットのやり方で選挙戦を勝ち抜き、同じ原理を政府の運営そのものにも適用しようとしている。そういうオバマとGoogleの蜜月関係というのは、すごく重大な意味がある。
これからオバマとGoogleは密室で物事を決めて、その情報をコントロールして、権力を強化していくのだろうか?
そういうことをしたら、Google Calendarに書けない予定が増えて、非常に有能な秘書課長みたいな人が必要になってくるだろう。たぶん、そういうタイプの人はGoogleにはいないから、それは無理だ。
もし、オバマとGoogleが密室で何か謀議するとしたら、それは「原則共有」の方向へ世界を強引に変える為の謀議だろう。そっち方面に進められれば、Googleはもっと儲かりオバマの権力は強化される。あれくらいの地位になると、「情報の流れが権力の構造を作るという原則」しかわかんなくて、「インターネット合わない」奴が多いからだ。
もちろん、実際には世の中はもっと複雑で「Page氏とBrin氏ともに秘書がいない」というなら、シュミット氏にはいるのだろう。そして、普通に秘書を置くような奴だから「(2)みんなEric Schmidt氏(現CEO)のことを嫌っていた」のだろう。
しかし、「フィルタは受け手が各自で」の考え方と「発信元のフィルタ=権力」の考え方が、今、激しく衝突を起こしているのは確かだ。そして、シュミットという人は、その両方を見れるから、今の地位にいられるのだと思う。(「嫌っていた」と過去形になっているからね)
グーグルがこれからどっちに転ぶのかはわからないが、どっちに転んでも当分はやっていけるだろう。
グーグルだけでなく偉い人はみんなどっちか片方だけ見てればなんとかなる。
でも庶民はそうはいかない。この両者のはざまで引っぱり回されるから、両方を意識してないとこれから大変だと思う。