Google Wave について知りたければまずこれを読め!

qwik を思い出してあげてください。。。 http://qwik.jp/

Google Waveのことを書いた記事にこんなコメントをいただいて、「やっぱりそう来るか!」と思いました。

あの記事を書きながら、qwik.jpの先進性を実感させられて、この話を記事に入れようと思っていたけど、勢いで書いたら入れられなくてどうしようかと思ったけど、まあいいやと思ってそのままPOSTしたら、やっぱり言われてしまいました。

CiNii -  qwikWeb : a communication system integrating mailing lists and WikiWikiWebというこの論文、今考えるとすごいメンツですね。

qwikWebは、Waveと比べるとはるかに地味なソフトだけど、目的としている所はほぼ同じで、その同じ所へ上から行くのがWaveで下から行くのがqwikWebだと思います。

そう思っていたら、何と、タイムリーなことに、江渡 浩一郎さんが、Wikiアジャイルとパターンの三題噺で本を書かれたそうです。

パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)
パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

早速予約注文しました。

こちらで紹介したこの講演が本としてまとまったということかな?

Google Waveというものがいったい何なのかよくわからないのは、あのプロジェクトの中で、サーバ側のチームとクライアント側のチームが同列だからだと思います。どちらかが主体となって他方を引きずる形にならずに、同等の立場で一つのサービスを作っている。

Google Wave」でyoutubeを検索すると、例の派手なデモの次に出てくるのはこの動画です。ちょっとだけ見てください。

何か数学の先生みたいな人がホワイトボードに手書きで図を書きながら難しい話をしてるでしょ。

普通の会社だと、派手な動画の人と地味な動画の人と、どちらかがどちらかの上に立ってしまいます。どっちも重要だし、当事者にもそれはわかってるんですが、会社の中で本当の「対等な関係」って難しいです。だから、品質や性能や拡張性はしっかりしているけど一般消費者にアピールしない、売りにくい製品になってしまうか、逆に、UIやプロモーションはすごいけど、負荷がかかるとすぐに動かなくなってしまうものか、どちらかになる。

だから、グーグルの先進性は技術ではなくて組織形態、コラボレーションの形態だと思います。凄い人がいることじゃなくて、凄い人が集まっても凄い人じゃなくならない、凄い人のスケーラビリティ。もの凄く凄い人はいなくても、ほどほどに凄い人が集まるとかけ算の力でもの凄いサービスが生まれることです。

上下関係がある「組織」っていうものには歴史と理論があります。対等な関係の「コラボレーション」にはそれが無かった。「組織」を主体として、その中で味つけとして「コラボレーション」を行なう方法はあったかもしれませんが、「組織」が無い所に最初っから「コラボレーション」を持ちこむ方法はなかった。

Wiki以外にはなかった。

Wikiが誰でも自由に書きこめるのは、真面目なプログラムを書くのが面倒だから手抜きしただけだと最初は思ってたんですが、実は、それはとんでもない勘違いで、意図してそうなっているのです。「真面目なプログラム」って何のことかと言えば、やっぱり管理者や編集者とただ見るだけの人を区別するように作ることで、普通は多人数で使うプログラムはそう作るもんですが、そういう普通誰でもそう考えることに対して、意図的に決然とダメ出ししてるのがWikiです。

Wikiってものすごいラディカルで、プログラムというより思想なんです。

「そんなことをしたら無茶苦茶になる!」と思う人は、江渡さんの本を読んでみてください。