ドコモはアップルの出入り業者になる覚悟があるのか
essaの無闇なオプソ勢力(に含めて良いでしょ)礼賛には食いついてみたくなる私。1) iPhoneの日本での影響力が未知数 2) 「そんな無理してiPhone欲しくない」なんて云える訳がない →本稿の指摘はあまり意味が無い。
私が無闇なオープンソース礼賛、無闇なジョブズ礼賛であることは認めますが、アップルがオープンだというイメージはあまりないです。
MacはよくできたUnixマシンではあっても、オープンソースに貢献している部分はあまりないし、アップルのビジネスは回りを強くコントロールすることに本質があると見ています。
むしろ、ドコモとアップルは似てると思います。ひとことで言えば、どちらも取引先を「パートナー」でなく「出入り業者」と見てる。
コンテンツ提供者にしろハードベンダーにしろ、独立した人格として直接ユーザに見える顔を持つことを好まない、あくまでユーザに対する顔を持つのは自分たちだけだという感じ。
もっとわかりやすく言えば、「どこのケータイ使ってるの?」という質問の答えが、「ドコモ」や「ソフトバンク」ではなくて「アップル」になるということ。
だから、ドコモ自身のことを考えると、どちらかと言えばドコモはiPhoneに手を出さない方が良いと思ってます。
今持っているユーザと「出入り業者」でガッチリと構築された独自の閉ざされた世界でやってった方が、先はなくても長続きするのではないかという気がします。そういうサービスを望むユーザも多いだろうし。
アップルと取り引きするということは、ドコモが単なる一ローカルキャリアとしてアップルの「出入り業者」になるということで、そこで多少のユーザ増が見込めたとしても、とてもドコモにとって合う話ではない、犠牲が大きすぎます。
アップルをひいきするソに対して国内メーカーがどう出るかも楽しみで、そういう方面でドコモは誠実なんではないだろうか(もともとメーカーに厳しいという面もあるだろうけど)。
そう思います。もし 「ドコモの○○○という機種」でなくて「アップルのiPhone」を売ることをアップルだけに許したら、他のメーカの中にも「もう出入り業者扱いをやめてくれ」と言う所が出て来るでしょう。つまり、いろんな取引先との関係が対等な「パートナー」同士の関係に変わっていくわけで、ドコモのビジネスモデル全体に、大きな改革を要求される。
だから、ドコモがどこまで覚悟を決めて交渉に臨んだのかに非常に興味があったのですが、これがよくわかりません。もちろん、交渉というものは相手に手の内を読まれてはいけないので、外部の人間にやすやすと方針が見えるようでは駄目です。結果が出るまではポーカーフェイスを通すべきです。
でも内部の方針としては、出血覚悟の開国かジリ貧折りこみ済みの鎖国維持か、そのどちらかで、中間には道がないと私は思います。
「もちろんドコモには明確な方針があるけど、それは決して外部には見せない。ましておまえのような素人にわかるわけがない」と言われたらそれまでですが、どうも中間を進もうとしているように見えてついつい言及されている記事を書いてしまいました。
もし、方針は鎖国維持と決まっていて、「アップルさんがおとなしくウチの出入り業者に収まるつもりなら売らせてあげてもいいよ」という意味での交渉だったら、(開国折込済みの)ソフトバンクに取られた時点で、鎖国モデルの優位性をアピールすべきだと私は思います。
つまり、「当社としてお客様に責任あるサービスを提供する為の基本的な方針があって、その点についてどうしても考えが一致しなかった」みたいな感じ。素通しの土管になって、サービス全体をトータルにコントロールすることを放棄したソフトバンクを、暗に批判するようなメッセージを発して「安心して使えるのは『出入り業者』をしっかり管理監督しているドコモです」ということを訴えておくべきではないかと思います。
アップルと交渉を継続したら、既に獲得したソフトバンクを交渉の材料に使われて、「おとなしくウチの出入り業者に収まるつもりなら、オタクにも売らせてあげてもいいよ」と言われるのはドコモの方。交渉が成立しても鎖国モデルの崩壊が早まるだけです。
ソフトバンクの方は、iPhone獲得の成否に関わらず、もともと開国するつもりだったのでしょう。つまり、キャリアがユーザに対する顔となって全てを支配するようなモデルはやめて、違うビジネスモデルを構築していくつもりだった。「ソフトバンクのiPhone」ではなくて「アップルのiPhone」が売れても、それと整合性を取りつつ実利を取れるような協力関係を築く方針だと思います。
ドコモが中途半端にその後追いをするよりは、開き直って鎖国し続けて守りに入った方がいいと、私は思うのですが
良くも悪くも日本らしいトップキャリア。意思決定がだれにもオーソライズされていないことは、一緒に仕事をしたことがあれば(ry
なし崩し的に状況に流されていく結果となりそうですね。
なお、このエントリに書いたことは「ドコモにとって」という視点で思うことです。
一ユーザとしては一刻も早くiPhoneを使いたいけどキャリアはどこでもいいし、一日本人としては「無闇なオープンソース礼賛」「無闇な自由競争礼賛」です。
一日一チベットリンク→シャロン・ストーンの「(四川大地震は)カルマ」発言について - 愛・蔵太のもう少し調べて書きたい日記