ちゃんと政治家を選ばないと子供が守れない時代

昔はネットが無くてもやっていけた? 嘘をつけ。マジョリティはそうだったかもしれないが、マイノリティはそうじゃない。自己の中心的な属性を否定するような情報ばかりに曝されて人格形成で大きなハンディキャップを負い、無用な自己否定感を植え付けられ、あるいは自死に追い込まれてきたんだ。

そして、そのような子供に適切な手をさしのべられるほど知識のある大人は近くにはいなかった。なぜならば、マイノリティだからだ。それに対して活動している大人もそんなに地理的に近くにはいない。

インターネットの普及によりようやく、こうした子供に手をさしのべられるようになってきた。webフィルタリングは、このような子供を見殺しにしようとしている。

これは「ようやく助けることができる子供にその助けの手が届かない」という問題じゃない。

こんな法律が通ったら、マイノリティの子供は、技術的には可能なはずの助けが法律によって規制されている世界に生きることになる。

現状維持じゃなくて、今よりもっと感じる絶望は深くなると思う。だって、そういう子供たちが受け取るメッセージは「君を助けることができない」じゃなくて「君を助けることはできるけど、それは規制されている」になるわけだから。

「君を助けることよりもっとずっと大事なことが世の中にはたくさんあるんだよ」と世の中から言われて育つことになるんじゃないかな。少なくとも、ネットとフィルタリングについていくぶんか理解した時に、彼らはその暗黙のメッセージに気がついてしまうだろう。

しかも、その「ずっと大事なこと」っていうのが、技術的にはほとんど意味をなさない有害無益なフィルタリングなわけで。

マイノリティの子供にそんな思いをさせてしまって、じゃあ、他の子供は健全に育つかと言えば、とてもそうは思えない。どの子供もなんらかの意味ではマイノリティなので、そういう自分の正体を必死で隠さないと世の中からはじき出されると思って、ものすごい窮屈な思いをかかえて成長していくことになるだろう。

正直言って、うちの下の子供はちょうど今年高校を卒業したとこなんで、「ああ、こんな馬鹿な法律に煩わされないで子育てを終えた俺は勝ち組」と思ってしまったよ。終わっちゃいないし馬鹿な法律がなくたって子育ては大変だけど、やっぱり、こんな法律のある世の中でこれから子育てをするみなさんの前では、「子育ての苦労」なんて口が裂けても言えないね。これで根性がねじ曲がってない子供を育てられたら、本当に尊敬しますよ。

子育ては手伝えないんで、こういう馬鹿な政治家を早くとっかえることができるような世論形成に微力ながら協力させていただきたいとは思うけど、どこか他人事かも。

しかし、ちゃんと政治家を選ばないと子供が守れない時代なんですね、今は。

今日の一日一チベットリンクChina-Tibet Conflict Moves Online : NPR

NPR:Technologyと言って、ふだんはネットやサイエンスのことしかやらない番組なんだけど、かなり時間を使ってチベット問題をやっていた。サイバー攻撃の話だから当然と言えば当然なんだけど、日本じゃそういう当然のことを普通にやる番組ってあまりないよね。