ライフログクランチャー
ドクターファームとscanning every ATOM on the earthに続き、「グーグルのやってることを一言で表してみよう」シリーズです。
グーグルは、史上最初の「ライフログ・クランチャー」なのだと思います。
「ライフログ・クランチャー」とは、「ナンバークランチャー」と「ライフログ」という二つの言葉を合わせて私が作った造語です。
ナンバークランチャーとは、コンピュータの応用の中でも科学技術計算のようないわゆる「計算機」という言葉が元々意味していたような適用領域のプログラムの特性を指す、専門用語あるいは隠語です。
普通のプログラムでは、条件判断によって細かくやる仕事が変わるものですが、気象のシミュレーションのような科学技術計算では、同じ計算をひたすら繰り返すだけのプログラムが必要となります。そういうプログラムや、そういう用途に特化したコンピュータをナンバークランチャーと言います。
ちょっと長い文章ですが、次の文章が、この言葉の語感をよく表していると思います。
ライフログは、毎日の出来事を全部コンピュータに記録してしまうという話。こちらは、次のリンクあたりを参照してください。
- ライフログ (Lifelog)とは: - IT用語辞典バイナリ
- ITmedia エンタープライズ:人生のやり直しが可能に? ライフログが紡ぐ未来 (1/2)
- 黒須教授のUser Engineering Lecture
そして、グーグルが欲しがっているものは、実はこの「ライフログ」という言葉に集約できるのではないでしょうか。
つまり、朝何時に起きて何を着て何を食って新聞のどの記事見てテレビの何チャンネルをつけて、何時に家を出てどの道を通って駅に行き、途中でどの看板に目を向けて何時何分の電車のどのあたりの乗っていつ会社に着いて、等という一連の個人の行動に関する情報を、とにかくたくさんグーグルは欲しがっているのではないか。
そもそも検索エンジンとは、個人の行動の中で、「Webページを作成する」という特定の部分に焦点を当てた、最初の「ライフログ・クランチャー」です。
Webページをクロールするとは、個人の行動の結果をかき集めるということで、これを大量に噛み砕くことで「ページランク」という価値が生まれ、グーグルの最初の製品となったわけです。
Webページは、一番手に入りやすい「ライフログ」であったというだけで、これからグーグルは、さまざまなデバイスやサービスを開発して、これまで手に入らなかった、さまざまなライフログに手を伸ばそうとしています。
そして、かき集めた「ライフログ」はどうなるかと言うと、ひたすら何らかの数値を生み出す為に使われ「噛み砕かれる」わけです。
「ナンバークランチャー」という言葉には「一直線にひたすら数字を噛み砕いて消化していくだけの怪物」というニュアンスがありますが、これと同じニュアンスをこめてグーグルを「ライフログクランチャー」と呼ぶのはどうでしょうか。