ようつべ買収はグーグルの世界政府β版=日本政府2.0への序曲

「すべてを破壊していく」を日本先行でやったらとしたら見物だなあ....

確かに!

グーグルがYouTubeをどうするつもりなのかは私には予想がつかないが、買収したらYouTubeの持っているコンテンツを徹底的に調べることは間違いないだろう。

  • どの会社のコンテンツがたくさんあるか?
  • どこの国のユーザが多いか?
  • 提携可能な会社、敵対関係になる会社はどこか?

そうしたら、たぶんいろいろな分析結果で日本の占める割合が多いことがわかる。

事業戦略としては、まず、からんできそうな日本の会社の手の内を読まなければならない。日本についてよく知らなかったら「これだけコンテンツを集めているのに現段階で何のアプローチもないとしたら、先方はよほど有力な対抗サービスを計画しているのかも」みたいな誤解もするかもしれないけど、もっとよく調べれば、相手があまりにも無策なことがわかってビックリするだろう。

弾さんが言うように、YouTubeにとって日本が最もおいしい市場であることにすぐ気がつくのは間違いない。

そして、日本のいびつで独特な社会構造から来る無策ぶりや、市場としてのおいしさ、潜在的競合企業のくみしやすさは、動画配信だけではないことにも気がつくかもしれない。

シュミット氏は、この先5年以内には、「真実の予言者(truth predictor)」とでも呼ぶべきソフトウェアが政治家に釈明を求めるようになっているだろう、と予想している。人々はプログラムを使って、「一見、事実に基づいているかに見える発言」を実際の史料と照合し、その内容が正しいかどうかを確認できるようになるだろう、と同氏。

こういうジャンルのサービスを開始する時に、まずベータテストをするのにうってつけの市場だと思うことだろう。

グーグルが世界政府屋さんについてマジで考えているのは衆知の事実だ。グーグルが世界政府屋さんをビジネスとして考えているのかどうかはわからないけど、仮にビジネスとして考えているとしたら、各国の政府や議員が競合相手になる。ビジネスの常識としては、市場規模が大きくて鈍くさい競合相手しかいない市場でスタートして、実績を示し勢いをつけることが基本である。YouTubeの今後の戦略について調査分析立案する過程で、メディアと政治との関連は重要な調査項目であり、それによって世界政府屋さんにとってのおいしい市場がどこになるかは、一目瞭然でわかってくるだろう。

「真実の予言者」と言っても技術的には大したことではなくて、2ちゃんねる+テクノラティのバックエンドにグーグルの手持ちのサーバファームをくっつけたようなもので充分だ。上記の引用で、「照合し確認する」の主語が「人々は」であることに注意。コンピュータが判定するのではなくて、人々が判定する為の資料を計算量の馬力だけでかき集めて抽出するという話である。それは、ドクターファームを擁するグーグルにとっては充分射程範囲だ。

そしておそらく「真実の予言者」には検索と同じように、site: オプションがつく。検索における site:オプションは、特定のサイト内で特定の単語を含むページを表示してくれる。たとえば、グーグル Google site:d.hatena.ne.jp/essa/ - Google 検索とやると、このブログ内のGoogleに関する記事を一覧できる。それと同じように、「真実の予言者」の site: オプションは「特定サイトの視点からのある政治家の重要発言」みたいなものを抽出してくれるだろう。

つまり、あなたが共感する政治的スタンスのサイトと「これはひどい」と思うサイトをいくつか登録しておけば、テーマごとに「あなたにとっての真実」の為に必要な情報をかき集めて重要度順に提示してくれるのだ。今、政治的なことに興味がある人で、このサービスを使わない人はほとんどいないと思う。

そして、もちろん、その登録情報はサーバファームの肥料になって、どのようなサイトの組合せが日本人全体にとって有用かを導き出す為の材料になる。

こういう話をすると、「真実の予言者」のアルゴリズムを勝手に想像して「それは使えない」と言ったり、この記事にそのアルゴリズムの詳細が無いことに文句を言ってくる人がいるけど、重要なのは、アルゴリズムの詳細でなく実装イメージだ。シュミットさんだって、アルゴリズムの詳細を想定して言っているわけではなく、実装イメージだけで言っているのだと思う。あるいは、「我が社は『真実の予言者』のアルゴリズムはまだ持ってないが、それを開発する方法論は確実にモノにした」という自信があるのだろう。

今回のYouTube買収は、グーグルの技術開発の方法論が一段階進化したことも示している。

ある種のベンチャーにとっては、GoogleNASDAQの代わりになったということだ。

私なりに言いかえるとこれは、文系を排除した理想のナスダック、つまり「理系ナスダック」である。

内部に対しては「愚図愚図してると『理系ナスダック』で外部から調達しちゃうぞ!」というプレッシャーを与え、外部に対しては「自分のサービスに自信があるツワモノは、(上場基準や審査スピードがよりハッカー向きになっている)我が社の『理系ナスダック』でEXITしませんか」という勧誘になっている。

これによって「真実の予言者」が一歩実現に近づいたのは間違いない。それを日本で最初にサービスインして、外国からそれを観察したら、政治がクリアになり日本に良い影響を与えたように見えることもほぼ確実。それは、「グーグルによる世界政府」への抵抗感を柔らげるアピールとなるだろう。

でも、それが本当にいいことなのかどうかは、私にはわからない。