イノベーションとは、昔の自分にうまく説明できないこと

イノベーションとは、昔の自分にうまく説明できないことだ。2ちゃんねるやブログがその典型だ。最近それをやりはじめた人は当然そうだと思うが、パソコン通信とかやってた人でも、もし説明しようとしたら、過去の経験が邪魔になって、過去の自分はとてもおかしなものを想像してしまうだろう。

2ちゃんねるに批判的な人は、過去の自分に「なぜそれがそんなに問題なのか、危険なのか」を理解させることに苦労するだろう。「そんな掲示板があったら問題だと思うけど、そんなことはどうでもいいことだろう」と過去の自分が言うだろう。

おそらく、過去の自分は現在の自分と同じくらいの理解力と、ほぼ似たような好みを持っていると思うけど、誰にとっても、ブログや2ちゃんねるについて、現在の自分が持っているイメージを、過去の自分に与えることは困難なことだろう。

それは、イノベーションというものは、「体験」を与えるからである。現在の自分と過去の自分は、知識も理解力も想像力も同じだ。そのイノベーションにまつわる「体験」だけが違っていて、そのことが、二人を決定的に分ける。

そのような断絶を作るものがイノベーションというものである。

イノベーションの為には、「やっていいこと」が列挙されているルールは適さない。「やってはいけないこと」だけが列挙されていて、「それ以外は何でもあり」になっていないといけない。「やっていいこと」が列挙されている場合は、イノベーションのためにルールの新設が必要になり、そのルールが必要になる理由は、過去の自分に説明できないからだ。

そして未来から見たら、我々は誰もが「過去の自分」である。