ブーイングする楽しみがサポーターを成長させる

観客の応援は、ピッチ上の選手にはっきり影響を与える。サポータレベル1は、このパワーの存在を知って、それでゲームを左右することが面白いという段階。

これを何試合か経験すると、「相手がいなければ僕はブーイングすることすらできない」ことに気がつく。これがレベル2。スペインリーグのサポーターはこの段階に達していて、その熱狂は継続可能なエネルギーとなり、内戦、民族紛争による過去の傷を癒し、大きなビジネスとなる。

という話なのだが、実に面白かった。必読モノです。


レアル・マドリーは各地で悪役を演じると同時に、それらの地で確実にファンを増やしていった。今や、ホームチーム以外で好きなチームとしてレアル・マドリーの名を挙げるサッカーファンは――かつてマドリーから来た軍勢に破壊された町でさえ――多数派なのだ。

スペイン各地の「おらがチーム」のファンは、常勝軍団を倒すために異常なエネルギーを地元のクラブに送りこみ、だから、あんな反則のようなオールスターのチームが優勝できなかったりする。常勝軍団は、かたき役としてリーグ全体とスペインの平和に貢献しているのだ。しかも、お金も儲かるし。


たくさんのアウェー、アウェー的な第三国での試合を戦ってきたジーコをして(彼はさぞかし目の敵にされてきただろうが、それをしても)異常だと言ってるんだけど、(少数のキチガイ客ではなく大勢の観客が)「帰れ」コールしたり国家にブーイングしたりするのは普通のことではない。

とあるように、中国のブーイングは普通じゃないことは確かだけど、


重慶のお客さんを見た僕の印象は、「ああ、この人ら、第一段階にいるんだな」だった。


スペインサッカーの歴史を踏まえて、僕は今回のアジア杯のような営みを続けていくことで、中国をまとめるための反日教育の影響のうちのネガティブな部分を将来的にはかなり軽減できると思っている。

という話は、ご自分の実体験をもとにしているだけに、非常に説得力がある。

中国での村上春樹ブームと日本大衆文化の受容なんて状況も一方にはあるわけだし、いいことも悪いこともフラットに受けとめたいと思う。