百家争鳴を許容する意思決定システムとは?

はてなダイアリーでたくさんの人が政治的な問題を論じている。そして、はてな内での方向性が90%以上一致するテーマもたくさんある。ただの井戸端会議ではなくて、大半の国会議員より勉強して書いている人もたくさんいる。

ということは、はてなユーザをそのまま政党にすることはできないだろうか、なんて妄想を考えてみる。

しかし、関心が一致する個々のテーマを集めるのは簡単だが、それを政治的勢力として結集しようとして、綱領や党首を決めようとすると、これは簡単に決まりそうにない。ヒマや金がある人じゃないとできないけど、その問題は除外して考えても、容易なことではない。

私には、もしそうなったら党首として推薦したい人が何人かいる。ここまで読んだ人の中にも、「id:xxxxさんなら」という名前がいくつか浮かんでいる人がいるだろう。お互いに10人くらい出しあって突き合わせてみると、半分くらいは一致しているだろうが、「どうしてこの人が?」という名前もあるような気がする。お互いに大人だから、相異点にこだわって無駄なケンカをしたりはしない。まあ、とにかく一致している所があればいいと先に進む。それで、一致した方のリストをさらに別の人と突き合せると、やはり「この人はまずいだろ」という名前があって、2〜3人けずられる。結局、5人くらいで検討してみると、それくらいでどうしても残る候補がいなくなると思う。

80%くらいの支持を集める人はたくさんいそうな気がするが、「こいつだけは絶対ダメ」と言われることが絶対無い人というのが思いつかない。

はてなが悪いわけではなくて、Jugem党だろうがココログ党だろうが、それらを全部ひっくるめたブログ党だろうが、同じことが言える。おおまかな方向性を一致させることや、関心が共通する重要なテーマをいくつか選び出すことは、すぐにできそうな気がするが、それを組織化しようとした場合に、アタマになる人や綱領のようなものを決めようとすると、とたんに百家争鳴状態になることが、容易に予想できる。

たぶん、これは数年のうちに現実的な具体的な問題になるだろう。ネットによって、従来、力にならなかったサイレントマジョリティーの声が、政治的な圧力になりつつある。それは組織化されてない力攻めだ。攻撃力は高いが、守備力が弱い。守備力が弱いというより、自滅傾向がある。

おそらく、この声を政治的に救いあげる努力がこれから本格的にはじまるだろう。しかし、既成政党が方向転換しようが、新しい政党が作られようが、ブログはそれをとことん批判する。彼らが批判に真摯に耳を傾けて方向転換していくと、2ちゃんねるでボロクソに言われる。誰がどうやろうと、ネットは絶対に容赦しないだろう。

ブログにも2ちゃんねるにも論客がたくさんいる。どんな問題でも、データを駆使し学問的な成果を踏まえて見事な論をはる人がたくさんいる。誰も気がつかないような隠された問題もすぐ発掘される。複数の主張を比較して、本質的に重要な論点を探り出す人もいる。投票も世論調査も簡単だし、翌日には結果だけでなく分析結果を目にすることができる。

その批判の矛先は、サイレントマジョリティを代弁しようとする新しい政治勢力にも向かうだろう。そして、その批判する力はワイドショーで誘導される井戸端会議より、ずっと強力だ。多様な観点から論理的に厳しく批判されすみずみまで調査され容赦なく問題点をあばかれる。自民党が自分たちの支持者を騙すことより、新しい勢力がその批判に対峙することの方が数倍困難だ。

嘘だと思うなら、「はてな党」のネクストキャビネットの試案を組んで、発表してみなさい。それで、コメントを受けて調整してみなさい。絶対にまとまらないから。