金子氏支援の取引コスト

一方に金子さんを支援したいという人がたくさんいて、金子さんに接点があってそれを届けられる人がもう一方にがいます。両者の希望は一致しているんだけど、なかなかお金が動かない。

お金を動かすためには、新井さんが必要以上に自分のプライバシーを晒したり、いろいろなコメントに答えなくてはいけないわけです。これが、この記事で言う、「相互理解のコスト」ではないかと思います。

それで、このコストを下げるのは社会のインフラの役割で、法人とか証券取引というのは、本来そういう機能を担っているのだと思います。

しかし、ここでどこかの会社が出てきて、「この支援金の仲介をします」と言ったら、たぶん怪しまれて誰もそこにはお金を送らない。新井さんのような個人が骨を折るしかない。

「相互理解のコスト」を個人の負担にしていては、お金がスムーズに流れません。今回の場合は、新井さんがあえてその負担をしょいこんだわけで、それは素晴しいことでその価値があることだと思います。このケースは特殊です。ただ、それは新井さんがその苦労をしてもお金を集めたいと思うことが特殊なのです。

片方にお金があって、そのお金の持ち主とかなり近い気持ちを代弁してお金を使いたい人がもう片方にいる。気持ちは一致しているけど、その間にお金を流す回路がない。そして、苦労してその回路になる人はいない。そういうパターンはものすごおくたくさんあると私は思います。

その回路の障害には二つの側面があります。社会的インフラが整備されてない、技術の進歩や社会の変化に追いついてないという経済的な側面がひとつ。気分的に人を信頼できない会社を信頼できないNGOを信頼できない政府を信頼できない警察を信頼できない何もかも信頼できないという、「気持ち」の側面がもうひとつ。

今回の事件でその「気持ち」の部分は悪化したでしょう。それは取引コストの障害となって、活用されないお金が増えて、明確に経済的な損失です。こちらは、簡単には戻るもんではありません。

そこで、経済的、制度的な側面で何か対策できないか考える。誰か、こんなことを問題にして具体的な解決策を提言していた人がいたような気がする。それも、ごく最近この日記からリンクしたような気がする。どこだったっけ?

ああ、あったあった。これだ