クオリアについて悩む頭脳
茂木健一郎氏の『意識とはなにか』について、Junkyさんが紹介とそれに関する考察を書かれています。これが面白かった。
脳神経のネットワークがきわめて複雑できわめてダイナミックに変化しているにもかかわらず、我々はふしぎに個物の同一性を維持しているという事実
こういうことに自然に気がつく頭脳とそうでない頭脳があるわけです。後者のタイプの頭脳はクオリアという概念がなくても説明できるかもしれませんが、前者のような頭脳を説明するには、その理論では力不足です。
つまり、クオリアを理解できない人の作る理論は彼自身を説明できるが、クオリアを直観的に理解する人の作る理論を自分自身を説明できない。ですから、クオリアの無い理論は自信満々でクオリアを含む理論は遠慮がちになります。
両者はレベルの違う問題に取りくんでいるのに、同じ採点基準で判定されてしまう。そこで、その問題設定の対象領域の違いを明確にしようとすると、結局その為には、クオリアという概念が必要になって「問題のレベルが違うんだ」という主張が通らない。
クオリア問題は、このような自己言及的な困難をかかえているような気がします。