首相の“踏み絵”発言で波紋

首相が公約でかかげる政策に異議があるなら、問題のある項目を指摘してそれを変えてもらうよう働きかければよい。党の意思決定システムを通らないで公約を決めることが問題ならば、「党の伝統や内規、慣行etc...を無視している」と言えばよい。

しかし出てくる言葉は、「ヒトラー」「独裁者」「北朝鮮」「ご乱行」「挑発姿勢」「踏み絵」「挑戦者」・・・。

首相の公約は、政策としては(過激にはなっているが)従来の延長線上にあるもの、予想されるものであって、自民党としては看板としてこれをかかげることには、本音としては異論はないのだろう。それが部分的に実施されることも「苦い薬」として飲む覚悟はあったかもしれない。

しかしコンセンサスの取り方を変えようとすると蜂の巣をつついたような騒ぎになる。それこそが自民党自民党である中核であるということだ。

今国民に必要なのは、この対立構造を自分の中に発見し自覚することだと思う。何かを改革しようとすると「それは大事なことだ。大事なことだからこそ先に根回しをしろ」とアドバイスをする奴が多い。そのようなアドバイスで自分はいったい何を守ろうとしているかを自覚しなくてはならない。どうしても明示的な議論にのせられないものがなぜ存在するのか、なぜのせられないのかを考えなくてはならない。