金のためならなんでもやれ

欲に目がくらんで本当に金のために何でもやる奴なら、今ならGoogleの真似をするしかない。俺にはできない。IT産業における圧倒的な生産性の格差を知っていて、頭のいい奴を集めて好きにさせるとものすごく金を増やすという実例を研究していても、もし自分の金でGoogleをやったら、「自分の下僕どもにそんなイイ目を見せてなるものか」と嫉妬心で狂い死にしてしまう。

俺はなるべく自分をさしおいて物を言わないようにしているが、間違っても自分が金持ちになることはあり得ないので、こればっかりは言いたいことを言わせてもらう。

Googleをやらない奴は、みんな金より優先するものを持っている。部下を過労死させる経営者は、金を増やすことより、特定のやり方で金を増やすことに執着している。「金のためならなんでもやる」と豪語するなら、金のためならなんでもやってみろ。歯を食いしばってでも自分の嫉妬心を自分の金銭欲で押さえろ。過労死するような部下はさっさと馘にしてしまえ。どうせ労働法規を破るなら、そういう破り方をして今すぐGoogleをやれ。

しかし、彼らは金は増やしたいがどうしても別のやり方で増やしたいと言う。部下の命より自分の金よりその特定のやり方が大事らしい。何が特定のやり方に彼らを縛りつけるのか?それは苦しいことを尊び楽しいことを憎む彼らの倫理だ。またしても問題は倫理なのだ。

金の亡者が実は倫理に縛られているというこの皮肉。労働者が資本家の倫理をぶち壊すために団結しなくてはならないというこの転倒。倫理のために労働者は死に経営者は儲けそこなうというこの悲劇。