富豪的な知恵

富豪的プログラミングという概念が提起しているのは「急激に供給される資源の配分が変化すると、人はなかなか状況についていけなくて直感的には最適解を選択できない」ということである。このことは、プログラミングだけでなくて一般的に通用する真理だと思う。

例えばちょっと前まで、評論家とかシンクタンクは希少な資源であって、常に不足していた。そこから供給される知恵を有効活用することが第一の優先事項だった。だから頭のいい奴はたくさん仕事をするのが当然だと思われていた。

だが今では、知恵や情報はメモリのように余りきっている資源である。こういうものはじゃんじゃん浪費することが正しい道なのだ。

ここでいくつか紹介しているように、2ちゃんねるには鋭い分析や高レベルのディベートがたくさん埋もれている。俺のような古い人間は「ああ、もったいない」と思っていちいち拾いあげてしまうが、本当はこういう貧乏くさいしてはいかんのだ。むしろもっともっと浪費してしまうべきだ。ちょっとやそっと浪費しても、知恵や情報は追いつかないほど過剰に供給されて、結局、全部仕事になって製品になってしまう。これではデフレは解消しない。

「頭のいい奴は役に立つことをしろ」という常識は、昔は資源の最適配分に寄与したが、今は非常に有害な概念である。みんなして知恵を合わせて役に立たないことをたくさん考えよう。