KON指数

子供が大人になりたい(KodomogaOtonaniNaritai)と思う感情の量を国全体で集計したものがKON指数である。「そんな指標のことは知らなかった」と悔やむ必要はない。今ここで俺が決めたことだ。非常にベタな命名であるがこの指数を使うといろいろなことが説明しやすくなるのだ。まずは田中角栄鈴木宗男の違いがこれで説明できる。

田中角栄は総理になった時にも総理をやめた時にもKON指数を大幅に上昇させた。評判がよかった時は「僕もがんばってあの人のように偉くなりたい」と子供に言わせ、評判が悪くなったらなったで「僕はああいう悪い奴を退治できるようになりたい」とか「僕も早く大人になってああいうふうに私腹をこやしたい」とか「僕ならもっとうまくやる」等といろんなことを言わせた。確かなことはいつなんどき何をやっても、あれを見てかなりの数の子供がより一層早く大人になりたいと思ったのである。

鈴木宗男はあらゆる面で田中の後継者であるが、KON指数への寄与という点だけは全く逆で、KON指数を下げる役割を持っている。「ああいうふうになりたい」と思う子供もいないし「あれを退治したい」と思う子供もいない。田中から鈴木までの間、日本のGDPは上昇を続けKONは下降を続けたのだが、いつ頃から顕著に下がったのかと言うと、たぶんバブルのまっさかりの頃であろう。つまり、この指数は景気に対する先行指標としても役に立つのである。

マクロに国民の幸福を映す数字として一人あたりのGDPがよく使わるが、日本人が世界で一番幸せだと言われて納得できない人はKONのランキングを作成してみればよい。イタリアだのアルゼンチンだのラテン系の国々はGDP のランキングよりずっと上になるだろうし、おそらくKONランクは日本より上だ。

昔は歌でもドラマでも「大人は汚い」とか「お前も汚い大人の仲間か」とか「大人になんかなりたくない」というセリフを毎日のように耳にしたものだが、これはKONが高い時代にこそ意味を持つセリフで、本音では「早く人間になりたい」じゃないが「早く大人になりたい」と思っているから、そういうセリフが人をひきつけたのだ。大人になりたいと思えない子供の時代には、この手のセリフは説得力がない。

教師や親が駄目になったと言われるが、KONを考慮して物を言うべきであり、これだけKONの低い時代にどちらもよくやってる方だと思う。

このようにいろんなことを説明できて大変便利な数字なので、ぜひ実際に測定してもらいたいと思うが、子供も結構建前で物を言うので単なるアンケートや面談調査等では正確な値はわからない。そしてやっかいなことにKONの低い時に子供に本音を言わせるのが、これがまた難題なのである。